2016 Fiscal Year Research-status Report
黄色ブドウ球菌新規TAシステムによるDNAトポロジー制御機構に関する研究
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16K08776
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 文紀 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (70452589)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / TAシステム / DNAジャイレース |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌のトキシン・アンチトキシン (Toxin-Antitoxin) システムは近年、細菌におけるストレス応答、病原性発現、薬剤耐性や抵抗性の制御において注目されている機構である。予備実験より黄色ブドウ球菌の機能未知タンパク質群の中から、DNAのトポロジーを制御する新規TAシステムStrA/StrB(Staphylococcal DNA Topology Regulator A/B)を見出している。DNAトポロジーを制御するDNA Gyrase はDNAに負の超螺旋を導入する酵素であり、真核生物には存在せず細菌にのみに存在することから、キノロン系抗菌薬の標的酵素として知られている。DNAトポロジー変化は、DNAの複製、修復、転写、組み換えなど様々な機能制御に大きく関与している。初年度である当該年度は、新規TAシステムStrABの機能を解明するために、1)大腸菌を用いてタンパク質の発現・精製しin vitroにおけるDNA Gyrase制御の解析を行う、2)ブドウ球菌属7菌種に由来するトキシン活性の異なるStrBのオーソログ間でアミノ酸配列比較し、StrBのトキシン活性に重要なアミノ酸残基の候補の絞り込み・アミノ酸置換導入による機能解析を行う、3)多剤耐性菌でMRSAである黄色ブドウ球菌N315株を用いて新規TA system StrAB遺伝子欠損株を作製・機能解析することを計画し研究を実施した。10月下旬に追加で交付が決定したため、研究実施初年度の当該年度は当初の予定よりも遅れて研究を始めざるを得なかったため、当初の予定よりも遅れている。しかしながら4年間の期間を考慮すると調整可能な範囲と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10月下旬に追加で交付が決定したため、研究実施初年度の当該年度は当初の予定よりも遅れて研究を始めざるを得なかったため、当初の予定よりも遅れている。In vitro におけるDNA Gyrase阻害活性を解析するために大腸菌を宿主として新規TAシステムStrAおよびStrBタンパク質を発現させ、単一精製することに成功した。しかしながら、現況においてはin vitroにおいてDNA Gyrase阻害活性を明らかにするにいたっていない。Staphylococcus属7菌種に由来するToxin活性の異なるオーソログ間でアミノ酸配列比較し、Toxin活性に重要なアミノ酸残基の候補を27番目グルタミン酸残基と絞り込み、アミノ酸置換導入により、Toxin活性の減少が見出されたことから27番目のグルタミン酸がToxin活性に重要である事を明らかにした。黄色ブドウ球菌N315株を用いて新規TA system StrAB遺伝子欠損株を作製するためのplasmidを作製し、現在遺伝子欠損株の取得を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
ToxinであるStrBの機能としてDNA Gyraseを阻害することを想定しているが、現状において明らかにするにいたっていないことから条件検討を再度行い、機能を明らかにすることを試みる。Staphylococcus属7菌種に由来するToxin活性の異なるオーソログ間でアミノ酸配列比較した結果、37番目のアミノ酸であるアスパラギン酸も候補として考えられることから、同様にアミノ酸置換の導入および生物活性の解析を行いToxin活性に重要なアミノ酸の同定を行う。生物においてDNAトポロジーの変化は、DNAの複製・修復・転写・組換え等の様々な機能制御に大きく関係しており、DNAトポロジーを変化させることで黄色ブドウ球菌の遺伝子発現を制御している事が強く示唆されることから、MRSAである黄色ブドウ球菌N315株を用いて新規TA system StrAB遺伝子欠損株、および遺伝子過剰発現株を作製し解析する。
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Causes of Carryover |
10月下旬に追加で交付が決定したため、研究実施初年度の当該年度は当初の予定よりも遅れて研究を始めざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究実施期間の初年度に計画していた残りを当初の計画通り進むよう翌年度に研究を実施する。
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Research Products
(2 results)