2018 Fiscal Year Annual Research Report
Role of a VacA receptor in the Helicobacter pylori infection
Project/Area Number |
16K08778
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 政之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (60398005)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Helicobacter pylori / VacA |
Outline of Annual Research Achievements |
胃ガンの原因であるHelicobacter pylori(ピロリ菌)が産生する病原因子の1つである空砲化毒素(VacA)のピロリ菌感染における役割、特に宿主細胞内の受容体を介したVacAの役割について検証した。昨年度までに、VacAが受容体であるRPTPalphaを介することで細胞内シグナル因子であるc-Srcをリン酸化することを促進し、その結果としてピロリ菌の発ガン因子であるCagAのリン酸化に関与することを明らかにした。そこで、最終年度では、RPTPalhpaを介したVacAによるCagAのリン酸化の作用機序について、特にRPTPalhpaより下流の作用機序とその分子機構について明らかにすることを目的とした。はじめに、RPTPalphaとc-Srcの複合体について解析したところ、ピロリ菌より精製したVacA存在下では、非存在下や熱失活したVacAを投与した条件と比較して、精製VacA投与後30分以内という非常に短い作用時間で有意にRPTPalpha-Src複合体の総量が減少する現象が認められたが、他方でこの現象は使用する培養細胞株により確認される減少量に違いがあることがわかった。この違いは、使用する細胞株におけるRPTPalphaの発現量やRPTPalphaの細胞外部分の修飾状態に依存するものであると考えている。さらに、RPTPalhpaによるCagAのリン酸化に関与する新たな因子についての探索を行ったが、現在のところc-Src以外の細胞内因子の関与を認めることができず、本研究で認められたVacAによるRPTPalhpaを介したCagAのリン酸化はRPTPalhpa-Src経路依存的な現象であると推測している。
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