2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08801
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 健太 北海道大学, 医学研究院, 助教 (20466840)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンタウイルスは、ヒトに腎症候性出血熱およびハンタウイルス肺症候群を起こす。その病態には、宿主の免疫系が過剰に反応することによって障害が起こる、「免疫病原性」が関与すると推定されている。しかし、ヒトでの疾患を再現する動物モデルがないため、病態発現のメカニズムは明らかではなく、治療法も開発されていない。これまでに、研究代表者は腎症候性出血熱に特徴的な腎臓の出血性病変を発現する感染マウスモデルを開発し、その病態発現にCD8陽性T細胞が関与することを明らかにした。また、患者由来の分離ウイルスのなかから病気を起こす強毒株と病気を起こさない弱毒株を発見した。本研究では、強毒株感染マウスおよび弱毒株感染マウスにおける宿主側の応答にどのような違いが認められるのか明らかにするため、発症する時期にあたるウイルス接種後6日目の腎臓を材料として、宿主の各遺伝子の発現レベルを比較解析した。その結果、弱毒株感染マウスと比較して、強毒株感染マウスでの発現レベルが2倍以上高い遺伝子が302、半分以下のものが154見つかった。各遺伝子の遺伝子機能を基に、発現上昇・発現低下遺伝子群のそれぞれで集積の認められる遺伝子機能カテゴリを検出する、Gene Ontology解析を行った結果、発現上昇遺伝子群で「activation-induced cell death of T cells」という遺伝子機能カテゴリが検出された。これまでに強毒株感染マウスおよび弱毒株感染マウスの腎臓中の抗原特異的CD8陽性T細胞の数には差が認められないことが明らかとなっている。これらのことから、強毒株感染マウスでは活性化したCD8陽性T細胞の細胞死が高頻度に起きるとともに、新たなCD8陽性T細胞が次々と集まってきていることが示唆された。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想に反し、強毒株感染マウスと弱毒株感染マウスの間で腎臓中のCD8陽性T細胞の数に大きな違いが認められなかったことから、CD8陽性T細胞を引きつけるケモカインに関する研究計画を取りやめたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CD8陽性T細胞の作用を調節する薬剤の治療効果を調べる研究において、投与量・ルート・回数などの条件を最適化し、精度を高める。
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Causes of Carryover |
当初の予想に反する結果が出て、CD8陽性T細胞を引きつけるケモカインに関する研究を取りやめたため次年度使用額が生じた。その費用を、次年度に実施予定のCD8陽性T細胞の作用を調節する薬剤の治療効果を調べる研究において、投与量・ルート・回数などの条件を最適化し、精度を高めるために使用する。
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Research Products
(1 results)