2018 Fiscal Year Research-status Report
HIV-1 Vifの細胞内調節機構および機能発現機構の解明
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16K08807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新堂 啓祐 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (10602344)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HIV-1 / Vif / PP2A / ubiquitin |
Outline of Annual Research Achievements |
HIV-1 Vifの誘導する細胞周期停止機構に関して、Vifによるユビキチン化を介したPPP2R5Dのプロテアソーム分解促進が必要かつ十分であることを、ノックダウンや過剰発現実験により証明した。また、Vifによる細胞周期停止機構の決定基としてNL4-3のI31/R33を同定した。さらに、細胞周期停止を誘導しないHXB2 VifのもつV31/G33をI31/R33に置換することで、細胞周期停止が誘導されることも確認した。分離株の配列データベースを検索したところ、Vifの33番目のアミノ酸で最も頻度が高いのはKであったが、I31/K33をもつVif は細胞周期停止を誘導することがわかった。これらの結果より、Vifによる細胞周期停止は多くのHIV-1株によって生体内で誘導され得ると考えられ、HIV-1感染にとって必須ではないものの優位性を持っていると考えられた。また、PPP2R5Dはこれまで報告されていたものとは違う機序により細胞周期を制御していることを示唆しており、さらなる研究により細胞周期制御の重要な知見が得られるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Vifの細胞内調節機構については、MDM2によるVifのユビキチン化、分解促進に対抗してCBF-betaがVifに支持的に働いていることを明らかにし、さらにMDM2との結合の決定基としてVif93を同定した。これらの内容に関して国際学会や論文として報告した。 Vifの誘導する細胞周期停止機構ついては、その機序としてPPP2R5Dの分解が必要十分であることを証明し、さらにPPP2R5D分解の決定基としてVifのI31/R/K33を同定した。これらの内容について国際学会で報告し、論文投稿中である。以上より、本研究課題について、当初期待していた成果を上げることができ、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に課題の遂行によりVifの誘導する細胞周期停止機構の直接の標的としてPPP2R5Dを同定したが、PPP2R5Dが蛋白脱リン酸化酵素であることより、蛋白リン酸化を介したシグナルによりTP53の活性化から細胞周期停止に至る可能性が示唆される。次のステップとしてPPP2R5Dの脱リン酸化の基質を同定することにより、PPP2R5Dの関わる細胞周期制御機構の全貌を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
Vifの誘導する細胞周期停止機構に関する成果に関して、現在論文投稿中であるが、追加実験や投稿費用、さらなる情報収集のために2019年度も使用する必要があり、予定している。
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Research Products
(1 results)