2016 Fiscal Year Research-status Report
免疫細胞の皮膚・粘膜浸潤の分子機構の解明とその制御
Project/Area Number |
16K08831
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
平田 多佳子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00346199)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 免疫学 / アレルギー / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症・免疫反応時には、さまざまな種類の炎症・免疫細胞がそれぞれ異なる時間経過で局所に浸潤する。なかでも、体の外面を覆う皮膚と内腔を覆う粘膜は感染防御に必須の生体バリアとして機能するが、種々の抗原と接触することでアレルギーが誘発される場でもある。細胞の局所への浸潤は、血管内皮細胞表面でのローリング・活性化・強固な接着・内皮細胞間隙への潜り込み・組織内での移動といった連続したステップを経て起き、セレクチンなどの細胞接着分子やケモカインなどの細胞遊走因子が関与する。本研究は、生体バリアとして機能する皮膚と粘膜局所への細胞浸潤について、セレクチンおよびケモカインに焦点を当て、その分子機構や時空的制御を解明することが目的である。 生体バリアへの細胞浸潤を解析するモデルとして、これまでにアレルギー性鼻炎マウスを作製し、鼻腔への抗原投与時に鼻咽頭関連リンパ組織 (NALT) でCCR3およびCCR10を含む複数のケモカイン受容体mRNAが上昇し、鼻粘膜ではCCR3およびCCR10のリガンドであるCCL28が誘導されることを見いだした。本年度は、エフェクター/メモリーT細胞の鼻粘膜浸潤におけるCCL28の機能的役割を明らかにするため、CCL28欠損マウスにアレルギー性鼻炎を惹起して、症状や病態について解析した。その結果、CCL28欠損マウスでは、野生型マウスと比較してくしゃみなどの鼻炎症状や鼻粘膜炎症が減弱した。さらに、鼻粘膜に浸潤したエフェクター/メモリーT細胞数が減少することを見いだした。したがって、鼻粘膜へのT細胞浸潤がCCL28に依存することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エフェクター/メモリーT細胞の鼻粘膜への浸潤の解析について、CCL28欠損マウスを用いた研究が順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
鼻粘膜へのT細胞浸潤がCCL28に依存することが示されたので、その機能的役割のさらなる解明および人為的制御を目指して研究を進める。
|
Causes of Carryover |
助成金の使用開始が年度の後半となったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬の購入に使用する。
|
Research Products
(3 results)