2016 Fiscal Year Research-status Report
IgG陽性B細胞特異的に発現する新規シグナル分子によるB細胞選択の解析
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16K08834
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
疋田 正喜 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60228715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫応答 / 抗原受容体 / B細胞 / シグナル分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Parm1ノックアウトマウスの骨髄細胞をB細胞を欠失するマウスに移植することにより、Parm1をB細胞においてのみ欠失する(bKO)マウスを作製した。コントロールマウスとして、野生型マウス由来の骨髄細胞を同様に移植したマウスを作製した。これらのマウスに抗原としてNP-chickenγglobulin(CGG)を免疫したところ、一次応答においてはbKOマウスにおいてもコントロールマウスと同等の免疫応答が観察されたが、bKOマウスにおいてはIgGクラスの二次応答に著しい減弱が認められた。 一方で、IgG2a陽性B細胞株であるA20細胞のParm1遺伝子を破壊した細胞株を樹立し、抗原受容体(BCR)シグナルに関与する分子群の活性化に与えるParm1の役割を解析したところ、Parm1 KO A20細胞においては、BCR架橋によるPLCγ2の活性化が促進されており、それに伴ってカルシウムの応答も増強されていた。さらに、BLNKのリン酸化もParm1 KO細胞において増強されていた。一方で、PI3KやAktのリン酸化については野生型と同程度にしか認められず、PI3K下流のシグナル経路にはParm1は関与していないということが示唆された。 これらの結果から、Parm1がBCRシグナルを負に制御していることが強く示唆されたため、Parm1によるシグナル調節機構にParm1の細胞質内領域に存在するITIMモチーフの関与が予想された。そこで、BCR刺激に伴うParm1のITIMモチーフのリン酸化について検討を加えた。その結果、Parm1のITIMモチーフに含まれるチロシン残基の微弱なリン酸化が認められた。これらの結果は、Parm1のITIMモチーフがBCRのシグナル調節に関与していることを示唆していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
免疫応答におけるParm1の役割を明らかにすることができたことと、抗原受容体シグナルを伝達する分子群のうち、どの分子にParm1が影響を与えているのかについて概要を明らかにすることができたことから、当初の予定どおり順調に進展していると考えられる。一方、Parm1によるシグナル調節に対するITIMの関与については、抗原受容体刺激により弱いリン酸化が認められることから、事前に計画した検討による成果が得られたと考えられるが、事前に予想していなかったシグナル調節機構の存在も示唆される結果であり、新たな可能性を示すことができた。これらのことを総合すると、実施計画で予定していた研究成果に加えて新たなシグナル調節機構の存在の可能性を得られたことから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに明らかとなった抗原受容体シグナルに対するParm1の調節機構を詳細に明らかにするとともに、Parm1の細胞質内領域に存在するITIMの関与について詳細に検討を加える。加えて、NZBマウスにおけるParm1の過剰発現の役割についても検討を加える。
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Causes of Carryover |
一部計画していた消耗品の購入を取りやめ、次年度に購入するよう変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入を繰り越した消耗品を予定どおり購入する。
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