2018 Fiscal Year Annual Research Report
Spatiotemporal regulation of thymic Treg production by Rap1GTPase
Project/Area Number |
16K08849
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
植田 祥啓 関西医科大学, 医学部, 講師 (90533208)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 胸腺 / インテグリン / Rap1 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺の制御性T細胞産生におけるRap1の役割を検討するために、T細胞特異的にRap1aとbを欠損するCD4-cre;Rap1aflox/flox;Rap1bflox/floxマウスを作製し、胸腺のFoxp3陽性細胞を解析すると上昇傾向にあった。一方、T細胞特異的にRap1bを欠損し、全身でRap1aを欠損するマウスにおいては制御性T細胞では制御性T細胞数が低下したことから、制御性T細胞はT細胞以外、Rap1a欠損による樹状細胞あるいは胸腺上皮細胞の異常によるものであることが推察された。T細胞におけるRap1欠損の影響は、多様なT細胞受容体レパトアによって補償される可能性がある。そこでRap1欠損によるT細胞の影響を調べるために、OVA特異的TCR遺伝子導入マウスOT-2と交配し、Rap1b欠損するマウス、Rap1b欠損およびRap1ヘテロマウスを作製した。このマウスから制御性T細胞の前駆細胞を分取し、これまでの研究によって確立された胸腺スライスを用いたin vitro 制御性T細胞分化誘導実験系で制御性T細胞への分化能を比較検討したところ、Rap1b欠損、Rap1b欠損およびRap1ヘテロ細胞で顕著にFoxp3陽性制御性T細胞への分化が低下した。よって、Rap1が制御性T細胞の産生に関与する可能性が示唆された。Rap1欠損による制御性T細胞の産生抑制の機序を検討するために、Rap1を欠損する胸腺CD4単陽性T細胞を蛍光ラベルし、胸腺スライス上の動態を解析したところ、正常型に比べて顕著に速度が低下し、また移動の直線性が失われていた、すなわち組織内移動の異常が観察された。制御性T細胞への分化には胸腺T細胞が髄質において自己抗原によって活性化される必要がある。よってRap1欠損により、抗原の探索効率が低下することにより、制御性T細胞への分化効率が低下している可能性が考えられる。
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