2017 Fiscal Year Research-status Report
広域巨大災害時に病院支援受け入れをスムースにする病院受援力診断ツールの開発
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16K08857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 宏之 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (90625097)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 受援計画 / 受援 / 事業継続計画 / BCP |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災発生時、被災地医療機関では受援体制を即時に構築できず、支援力を十分活用できなかった。研究代表者らは以前の研究において東日本大震災被災地病院での受援計画策定率が全体で約6%、災害拠点病院のみでも約14%にとどまることを明らかにした。本研究では、災害で被災しても病院が速やかに受援体制を構築し支援を受け入れ機能維持・回復できる医療供給体制の確立を目指し、1)日本全国の病院受援計画策定状況の横断的調査と問題点の抽出を行い、2)病院受援力を診断し、計画策定を容易にするWEB版ツールの開発と受援計画策定促進、3)病院受援計画策定率増加の評価・確認を行うことを予定している。本研究によって病院受援計画策定・自己評価が容易になり、受援計画策定の促進、また実践的な受援力向上のための訓練支援を行うことができ、災害に強い医療供給体制の構築に貢献できる。平成29年度の活動として、研究代表者、連携研究者による研究方針検討会議を複数回実施し、平成28年に発生した熊本地震の医療機関に与えた社会的影響も踏まえ、各医療機関の受援計画調査に合わせ、「受援」にも強く関連する事業継続計画(BCP)についても合わせて調査を行う方針を立てた。医療機関が「受援」する理由は、最終的に災害時でも医療活動を停止することなく、地域社会から求められる重要な役割(key role)を果たし、災害時の地域活動を下支えする必要があるからである。現在、他分野におけるBCPの専門家も交え、医療機関のBCPに必要な特性、項目について検討している。また、検討結果については第23回日本集団災害医学会総会・学術集会パネルディスカッションにおいて指定演者として報告、また研究成果を踏まえ同学術集会における医療機関BCPワークショップの座長も務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年に発生した熊本地震の医療機関に与えた社会的影響も踏まえ、各医療機関の受援計画調査に合わせ、「受援」にも強く関連する事業継続計画(BCP)についても合わせて調査を行う方針となった。現在、他分野におけるBCPの専門家も交え、医療機関のBCPに必要な特性、項目について検討し、合わせて調査を行うこととなったためである。ただし、調査手順は平成25年度に代表者らの先行研究があり、十分に遅れを取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度、病院受援計画及びBCPに関するアンケート調査を実施後、調査結果について解析を行う。受援計画・BCPに必要と考えられる項目を人員配置・設備・運用・連携・通信・訓練などの項目に大別し、設問に対する回答によって病院受援準備状況の点数化、自己診断を容易にするproblem-oriented病院受援力診断ツール(仮称)を開発する。開発した診断ツールに関しては研究代表者の所属する研究室HP上に公開し、調査協力病院にフィードバック、各病院での受援計画策定を促進する。診断ツールの周知にあたっては学会・研究会での発表も活用する。調査は結果を論文にまとめ、広く社会に還元する。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成28年度からの繰り越し及び病院受援計画・BCPに関するアンケート調査が未実施のため、それに纏わる通信費、旅費等で次年度使用額が大きく生じた。 (使用計画) 平成30年度に実施する病院受援計画・BCPに関するアンケート調査における通信費、データ入力に纏わる人件費、打ち合わせ及び学会発表などに伴う旅費などを、平成30年度分助成金と合わせ使用する予定である。
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Research Products
(6 results)