2017 Fiscal Year Research-status Report
代理人指名を第一とするALS(筋委縮性側索硬化症)事前指示の普及に関する研究
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16K08858
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊藤 道哉 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70221083)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / アドバンスライフプランニング / 代理人指名 |
Outline of Annual Research Achievements |
ALS患者・家族等において、将来の生き方についての話し合いが、どれくらい行われているか、実態を明らかにするため、アンケート調査を実施した。全くコミュニケーションがとれない状況(林らの分類でステージ5)は約14%であった。 生き方についての話し合いの状況であるが、ALP(アドバンス ライフ プラニング:ご本人、ご家族、医療・ケア関係者が一体となって、価値観や人生観を尊重しながら、受けたい医療やケア、住まい方、人生設計について話し合い、ご本人の生き方を共有するプロセス)や、意思表示が難しい状況にあらかじめ対処するための、事前指示(前もって方針を話し合って、医療・ケアについて、ご本人の希望を明示すること)等を質問した。実際に「行っている」割合は、代理人の指名16.7%、口頭事前指示18.8%、事前指示書(文書)12.1%、アドバンス ライフ プラニング8.0%であった。「聞いたことがない」「 話し合いをしたことがない」を合わせた割合は、それぞれ、代理人の指名68.0%、口頭事前指示54.9%、事前指示書(文書)67.7%、アドバンス ライフ プラニング77.7%であっ目下、厚生労働省「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」においても、アドバンス・ケア・プランニングの普及啓発が検討されている。そもそも安定期のALS患者は、人生の最終段階にあるわけではなく、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂版がそのまま当てはまるわけではない。一般高齢者の人生の最終段階では、胃ろうの造設は推奨されない場合があるが、ALSでは、栄養管理の手段として、胃ろうの造設が積極的に推奨されるなど、疾患特異的な差異がある。また、コミュニケーション支援を継続的に行っていかないと、本人の意向をくみ取れない場合もあり、日ごろのコミュニケーション支援が最重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本ALS協会理事会の承認に時間を要し、患者会員への悉皆調査の実査が、2018年3月にずれ込んだ。厚生労働省医政局、人生の最終段階における医療介護の在り方に関する普及啓発検討会の最終報告が同3月に出されたが、一般高齢者対象であり、ALS安定期には到底当てはまらないので、ALS専門医、医療倫理専門家と、ALS用の話し合いのガイドラインの策定を試みている。特に,京都大学"勝手連"の研究者と,頻回に打ち合わせを重ね,話し合いのツールを精緻化している。
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Strategy for Future Research Activity |
日本ALS協会患者会委員対象2018年3月実施悉皆調査の解析を急ぐ。ALS患者本人が、そもそも、意思を表示できる状況にあるのか、コミュニケーションには,どのようなツールが用いられているのか。コミュニケーション支援者は、どのような構成でどのような支援が提供されているのか。コミュニケーションの障害が理由で,社会的不利益を被った経験が無いか。社会参加の機会に、コミュニケーション支援制度が悉皆活用されているか等を詳細に解析する。 ALS版、話し合いのガイドラインについて、京都大学の研究者とともに精緻化を行い、ALS患者本人、支援者からの評価を受け、普及を図る。
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Causes of Carryover |
調査が遅れたため、入力委託費が余った。次年度に入力委託等の費用として活用する。
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Research Products
(11 results)