2016 Fiscal Year Research-status Report
出生コホート調査における参加継続および倫理的課題に関する意識調査
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16K08862
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 緑 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (90597121)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 疫学研究 / 出生コホート / 研究倫理 / モチベーション / 遺伝リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
出生コホート調査の遂行と倫理的課題に関して、エコチル調査千葉ユニットセンター参加者の協力意識および調査への認識を把握するため、次の意識調査と分析を行った。 1)全参加者に対する意識調査 1回目アンケートとして、エコチル調査の全参加者5346名にアンケートを郵送し(平成28年9月)、平成29年2月末までに回収した2044件のデータ入力を行った。そのうち、母親が回答した1933件については、遺伝子解析に関わる認識について分析を行った。その結果、遺伝の基本的用語の意味を知らない者が半数近くおり、遺伝子解析については基本から丁寧に説明する必要性が明らかとなった。また、市販の遺伝子検査について好意的な見方をする者が多いことがわかり、遺伝子検査、遺伝子解析への誤解や過度な期待を避けるための情報提供の必要性が示された。本結果は、平成29年度の日本遺伝子診療学会で発表する予定である。このほか、平成28年10月末までに得られたアンケートの回答について中間集計を行い、一部の結果を調査参加者向けニュースレターに同封して報告した(平成29年2月)。 2)詳細調査参加者に対する意識調査 2歳時アンケートとして、詳細調査に参加した児の保護者約300人に対してアンケート調査を行った(平成28年12月まで)。そのうち、母親221名から得た回答について中間集計を行った。その結果、調査に参加した母親は、子どもの健康増進に役立つ成果への期待と検査結果返却への期待が極めて大きいことが判明した。一方、児の心理的負担に関わる不安やデータ管理上のリスクについての懸念を持つ母親も多かった。このことから、今後の調査継続にあたっては、このような親の懸念に十分配慮した上で実施方法や説明方法を検討する必要性が明らかとなった。本結果は日本疫学会で発表した(平成29年1月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画どおり、全体調査参加者、詳細調査参加者へのアンケートを実施し、データ入力、一部データの分析、成果発表を行った。また、平成29年度に4歳詳細調査に併せて実施するアンケートについても準備を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、次の研究を進める。 1)全参加者意識調査として2回目のアンケート調査を9月に実施し、集計、分析を行う。 2)詳細調査参加者意識調査は、5月よりアンケート調査を開始する(平成30年12月まで)。 3)参加継続あるいは協力中止等の背景要因について分析を行うため、詳細調査への不参加、全体調査・詳細調査への協力中止の理由について情報収集を継続する。 これらのデータを統合し、参加者意識の実態および背景要因との関連についての分析を進める。
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Causes of Carryover |
28年度は統計解析ソフトを計上していたが、アンケート自由回答の内容の質的分析方法について情報収集を行い、再検討しているところである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析に適した解析ソフトの購入あるいはデータ解析のための人件費に充てる計画である
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Research Products
(1 results)