2020 Fiscal Year Research-status Report
入試における情意領域評価の評価指標・尺度の確立―卒業後に亘る長期追跡調査―
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16K08872
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大塚 智子 高知大学, 教育研究部医療学系医学教育部門, 准教授 (70335933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 入学者選抜 / 追跡調査 / 医学教育 / 主体性・多様性・協働性 / 評価指標 / 情意領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,主体性や協働性など情意領域に関する評価を行う総合型選抜(旧:AO入試)に関して,入学者の追跡調査を行い,選抜の妥当性と信頼性を検証し情意領域に関する評価指標・尺度を確立するものである。 令和2年度は,得られたデータの解析を実施した。 卒業後のデータ:本学卒業者のうち,2015~2018年度に臨床研修を開始した者を調査対象とした。臨床研修修了直前に対象者の臨床研修病院の指導医にアンケートを送付し「医療者として必要な基本姿勢・態度」に関する対象者の能力について5段階評価で回答を求めた。総合型選抜で入学した者とその他の選抜で入学した者の2群に分け,両群間のスコアを比較した。対象者208名(総合型選抜入学者64名,その他の選抜入学者144名)について,評価スコアを比較した結果,「患者-医師関係」(p=0.013),「チーム医療」(p=0.004),「症例呈示」(p=0.007)において総合型選抜入学者がその他の選抜入学者より優れていた。一方,「問題対応能力」(p=0.132),「安全管理」(p=0.250),「医療の社会性」(p=0.155)については両群間に有意差は認められなかった。本学医学部医学科総合型選抜では,「患者-医師関係」「チーム医療」「症例呈示」に関する能力が高い者を選抜している可能性が示された。また,第2次選抜の態度・習慣領域評価は,数名で行うグループワークと全体のプレナリーセッションを繰り返す。結果より,本選抜では「患者-医師関係」「チーム医療」に関する「対人関係の能力」だけでなく「症例呈示」に関する「プレゼンテーション能力」も評価する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は,得られたデータを分析し情意領域評価による入学者選抜方法について検証する段階であったが,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため在宅ワークが主体となり,大学内に保管する各種データへのアクセスができない状況が続いた。故に本年度の進捗状況については,やや遅れが生じている。よって研究期間の1年間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータ解析を進め,総合型選抜入学者が備える能力についてその特徴を明らかにするとともに,選抜方法の改善を図りより効果的な選抜方法を確立する。これを基に,総合型選抜以外の選抜についても分析を開始し,効果的な選抜方法への改善を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,予定していた学会出席に関する出費や物品購入等が行われなかった。次年度,備品等を購入予定である。
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