2021 Fiscal Year Research-status Report
入試における情意領域評価の評価指標・尺度の確立―卒業後に亘る長期追跡調査―
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16K08872
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大塚 智子 高知大学, 教育研究部医療学系医学教育部門, 准教授 (70335933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 研修医の到達目標 / チーム医療 / 追跡調査 / 医学教育 / 主体性・多様性・協働性 / 評価指標 / 情意領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,解析結果を第53回日本医学教育学会大会で発表した。総合型選抜で入学した学生は研修医となった時点でも,他の選抜で入学した研修医に比べ「患者―医師関係」や「チーム医療」という対人関係の能力が高く「症例提示」というプレゼンテーション能力が高い事が明らかになった。データ解析を更に進め以下の結果を得た。 卒業後のデータ:本学卒業者のうち,2015~2018年度に臨床研修を開始した者を調査対象とした。臨床研修修了直前に対象者の臨床研修病院の指導医にアンケートを送付し「引き続きあるいは将来,同じ病院で働いて欲しいか」「医療者として必要な基本姿勢・態度」について5段階評価で回答を求め,両項目間の相関を分析した。「引き続きあるいは将来,同じ病院で働いて欲しい」と相関が強かった到達目標は,「上級及び同僚医師や他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれるSpearman's ρ=0.62, P=0.001」「指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションができるρ=0.61, P=0.001」「同僚及び後輩へ教育的配慮ができるρ=0.57, P=0.001」だった。一方,相関が弱かった到達目標は,「医療保険,公費負担医療を理解し,適切に診療できるρ=0.26, P=0.001」「保健医療法規・制度を理解し,適切に行動できるρ=0.31, P=0.001」「医薬品や医療用具による健康被害の発生防止について理解し,適切に行動できるρ=0.37, P=0.001」だった。指導医は「チーム医療に優れる研修医」と共に働くことを望むと考える。また「医療人として必要な基本姿勢・態度」は,研修医にとっていずれの項目も等しく重要だと言えるが,指導医が共に働きたい研修医という視点では,その重視度に項目間のばらつきがあることが示唆された。結果は,第54回日本医学教育学会大会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は前年度に引き続き,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため在宅ワークが主体となり,大学内に保管する各種データへのアクセスができない状況が続いたが,大方の解析は終了し良好な結果を得た。研究結果の統合及び公表のために研究期間の1年間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
解析結果を学会等で発表するとともに,本研究の成果を論文等にまとめ公表する。総合型選抜入学者が備える能力についてその特徴を明らかにするとともに,選抜方法の改善を図りより効果的な選抜方法を確立する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,予定していた学会がオンライン開催となり参加に関する出費が減額した。該当分について,次年度の学会参加費及び論文執筆費に充てる予定である。
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