2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08874
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大坪 芳美 佐賀大学, 医学部, 教務職員 (20152192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒見 隆信 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (30150410)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域交流 / コミュニケーション教育 / 地域住民参加型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域と大学が連携し、地域住民と学生との直接的な交流を通し、相互に貢献できる、地域住民参加型の実践的医療教育システムの構築をめざしている。 社会福祉協議会の協力を得、学生と地域高齢者との交流を実施した。交流前後に学生の高齢者イメージについてアンケート調査を実施し比較した結果、交流前に比べ交流後は高齢者のイメージが肯定的に変化した。さらに高齢者とのコミュニケーションにより、身体能力の衰えをふまえ、一人ひとりに合わせた意思疎通の大切さを実感した。 平成28年度は、新たな試みとして地域法人主催のイベントに学生が参加し、一般市民を対象とした医学生による『健康チェック』および『一次救命法講習』を実施した。学生は、地域住民の血圧や握力の測定や、AEDの使い方講習などを通じて、幅広い年齢層の地域住民とコミュニケーションをはかり、医療について感じていることに耳を傾けた。学生は、年齢や背景・価値観も異なる多様な地域住民との交流から、医師に対する期待の大きさを実感する一方、医療に対する不信感にも触れた。さらに地域住民、特に高齢者の健康に対する関心の高さなどから、医療が生活や社会と密接にかかわっていることを認識した。イベント終了後の感想では「医師という存在が、人々にこんなにも頼りにされていることを知って驚いた」「医師に求められるものは、病気を治すことだけではなく、患者の背景まで感じとれる想像力である」「病気は、医療従事者と患者とが一緒に治していくものだ」など、様々な気づきを得ることができ、またこのような機会があったら是非参加したいと述べている。また今後の課題として、ほとんど他人と交流せずに家の中で過ごしている住民や、検診を受けない住民に、自身の健康に関心を持ってもらう方策を考えていく必要性を感じ、モチベーションを高める機会となったと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地縁団体協力のもと実施している医学部学生と地域高齢者との交流は、地域住民からの評価も高まってきている。28年度は新たに地域法人主催のイベントに学生が参加した。地域を教育フィールドとした今回の取り組みは、学生のコミュニケーション教育・モチベーション向上に効果があることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、地域住民を対象としたシンポジウムを開催し、28年度実施したアンケート調査をもとに、低学年で学ぶ予防医学や高齢者援助方法等を伝える予定である。
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Causes of Carryover |
研究初年度のため、当初予定していた調査のための旅費を、必要な物品や参考になる図書の購入にあてた。また地域地縁団体の協力者に謝金を予定していたが、地域主催のイベントでデータを取得でき謝金は発生しなかったため次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度には、シンポジウムを予定しているため繰越金をあてることとする
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