2021 Fiscal Year Research-status Report
重篤な身体疾患に罹患した高齢者における、病状悪化に備えた事前意思決定に関する研究
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16K08878
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
奥山 徹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80349349)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アドバンス・ケア・プランニング / 精神腫瘍学 / 緩和ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:進行がん患者において、本人が望む終末期の療養を実現するためには、適切な病状の理解が不可欠である。 本研究では、進行がん患者の予後理解の程度やその関連因子を明らかにするとともに、予後理解が将来の延命治療の希望と関連があるかどうかを明らかにすることを目的とする。 対象:根治照射不能III期、IV期もしくは術後再発の非小細胞肺がん患者で、1次化学療法に増悪後2ヶ月以内の患者とその介護者とした。 方法:研究デザインは縦断的観察研究である。対象患者を連続サンプリングし、ベースライン、及びその3ヵ月後に質問票調査を実施した。質問内容としては、現在受けている抗がん剤治療の目的の理解、現在の健康状態に関する理解、今後の療養について主治医と話し合ったことがある内容、今後の治療方針についてどの程度積極的 に関わりたいか、「病状が進んだ時にどのように過ごすか」と言うことについて事前に話し合いたいか、病状が進んだ時にどのような療養を希望するか、など を含むものとした。 結果:最終的に4施設で調査を実施し、199名の患者及び179名の介護者より有効なベースラインデータを得た。「根治不能である」と正しく理解していた患者は54%、介護者は51%、「抗がん剤治療の目的が癌を完全に治すことではない」と正しく 理解していた患者は44%であった。多変量解析の結果、反復して治癒困難であることが説明されていた患者は、最近1度説明された患者と比較して正確な予後理解を示した。また3ヶ月後に正確な予後理解を有している患者は、様々な因子で調整してもなお、将来における延命治療の希望が有意に少なかった。 結論:予後について繰り返し話し合うことが患者の予後理解を改善すること、予後理解の改善が延命治療の希望を減ずることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地調査を終了し、現在英文論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
更なる統計解析を行い、副次的アウトカムに関する論文の出版を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究結果は、現在論文化中である。 助成金は、論文化に必要な英文校正、投稿料、学会旅費・参加費などに使用する予定である。
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