2016 Fiscal Year Research-status Report
マインドフルネスが健康寿命延伸化に及ぼす影響に関する費用対効果研究
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16K08881
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐渡 充洋 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10317266)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | マインドフルネス / well-being / 費用対効果 / 医療経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)プログラムの開発 RCTの実施にあたっては、そのプログラムが必要になる。申請者らは、これまで、不安障害やがんの患者に対するMBCTプログラムの開発を行い、すでにそのプログラムを使用してRCTを実施している。本研究でも基本的にそのプログラムを活用する。しかし、本研究では、①アウトカムとしてwell-beingをおくこと、②対象に、患者だけでなく健常者も含まれうることなどが、以前の研究と異なる点である。そのため、プログラムに関しては、患者用のMBCTプログラムを健常者用に修正し新たなプログラムを作成する必要がある。初年度は、まず最初に諸外国における健常者を対象としたMBCTプログラムの実施状況の情報収集(主に文献収集およびそのレビュー)を行い、well-being用のプログラムに組み込むコンポーネント(各瞑想技法および行動活性化の課題など)について評価を行い、well-being用のプログラムの開発を行った。さらに、本研究とは別の先行研究として実施されている、対照群をおかないsingle armでの研究結果から、さらにプログラムの精緻化を図った。 (2)アウトカムの設定 アウトカムとして設定するwell-beingが比較的新しい概念であること、その構成要素が多岐にわたることを鑑み、well-beingのどのような指標がアウトカムといてふさわしいか、文献レビューを行い、主要評価項目の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)プログラムの開発 RCTの実施にあたっては、そのプログラムが必要になる。そのため今年度、MBCTをはじめとした、さまざまなマインドフルネス的介入プログラムについて文献検索を実施し、それぞれのプログラムの長所短所について把握した上で、well-beingをターゲットとしたプログラムに必要なコンポーネントを検討した。また文献だけでは、把握しきれない各プログラムの特徴等については、研究者等と直接意見交換を行い、これをプログラムの中身に反映した。さらに、本研究とは別の研究として実施されている、対照群をおかないsingle armでの研究結果から、さらにプログラムの精緻化を図った。以上のプロセスより、well-being用のプログラムが全体の約70%程度を作成することができた。 (2)アウトカムの設定 次に、アウトカムとして設定するwell-beingが比較的新しい概念であること、その構成要素が多岐にわたることを鑑み、well-beingのどのような指標がアウトカムとしてふさわしいか、文献レビューを行い、主要評価項目を決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず現在進行中のwell-being用のプログラムの作成について、さらに必要な情報収集を行ったうえで、そのコンテンツを完成させる。コンテンツの作成にあたっては、同様のプログラムを既に実施している研究者等との意見交換や議論を実施する。さらに、アウトカムとして設定するwell-beingについては、具体的に評価する指標の設定、その他の副次評価項目の決定を行う。アウトカムの設定にあたっては、関連する研究者との意見交換や議論を行う。次に、本研究とは別で実施されている対照群をおかないsingle armでのpilot studyの結果から、RCTでの対象者の設定、サンプルサイズの計算等を行い、RCTのプロトコールを作成し、倫理委員会の承認を得る。さらに、研究協力者を募集し、well-beingをアウトカムとしたMBCTのRCTを開始する。RCTは平成30年度も継続する。介入研究が完了した時点で、解析を行い、 MBCTのwell-beingに対する効果を検証する。また本研究では、費用対効果研究も併せて実施する。費用対効果については、RCTから得られた費用および効果の指標から、これを推計する。その結果は、増分費用対効果比(Incremental Cost Effectiveness Ratio: ICER)を用いて評価する。MBCT群が対照群に対して、有意に費用対効果的でない場合には、追加的に確率感度分析を実施して費用対効果について分析を行う。
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Causes of Carryover |
本研究は、2016年4月より開始になる予定であったが、採択が10月にずれ込んだこともあり、研究開始時期が半年以上遅れることになった。よって、当初予定していた、プログラムの開発およびアウトカムとして設定するwell-beingに関する調査も半年以上遅れての実施になった。そのため、それに関連した人件費、旅費、その他の予算に未使用額が生じる結果となった。未使用額については来年度以降の研究の進捗によって使用される予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算については主に以下の項目に使用する。まず、次年度には、well-being用のプログラムを完成させるが、そのために文献検索や研究者等との意見交換、議論を予定しており、そのために予算を使用する。さらに、RCTの実施にあたり、研究プロトコールを作成する必要がある。それには、アウトカムの設定、サンプルサイズの決定等が必要であるが、そのための文献レビュー、専門家との意見交換などのために予算を使用する。最後に、RCTを開始するが、その実施のために必要となる費用、具体的には、消耗品の他、RCTの実施にあたって必要となる、中央管理で実施する無作為割付、データ管理のための費用、本研究の推進に伴う事務員の人件費、および謝金等の費用に予算を使用する。また、その他の消耗品、印刷費等の費用も計上予定である。
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