2018 Fiscal Year Research-status Report
臓器提供意思表示行動など高関与型向社会的行動の説明モデルの構築と検証
Project/Area Number |
16K08892
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
瓜生原 葉子 同志社大学, 商学部, 准教授 (70611507)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 行動変容 / 高関与型向社会的行動 / 意思決定 / 臓器提供意思表示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,国際的に解明されていない「臓器提供意思表示」という高関与型向社会的行動における行動決定要因を明らかにし,行動を説明するモデルを構築することを目的としている。3年目の平成30年度は,前年度に導出した意思決定の行動要因とメカニズムを基に、残された課題であった年代別の意思表示に関する行動決定因子を探索的に研究した。 具体的には、幼児から高校生までを対象とし、年代別に行動目標を設定し,その目標にあった科学コミュニケーション手法について,先行研究調査,定性調査から仮説を導出し、それを検証するための介入方法,教材・ツールを定め,実装組織Share Your Value Projectとともに、検証を行った。 実証の機会としてのMUSUBU2018では、自治体、医療機関、市民団体とともに地域実装組織を構築して協同し、園児、小学生、中学生、高校生、大学生に対する介入を行い、その効果測定を行った。幼児「想い(意思)をカタチにする(表示)という行動の嬉しさを知る」、小学生「周囲への感謝の気持ちを持ち、伝える」、中学生「移植医療について自分の事として考える」、高校生「臓器提供の意思表示について自分なりに一度考える」を行動目標として介入の効果測定を行った結果、「家族臓器提供について対話すること」が促進因子であることが明らかになった。 研究成果の社会還元の場として、2019年2月に「SYVPソーシャルマーケティング研究会」を主催し、多様なステークホルダー約100名の参加を得た。その報告内容について「ソーシャルマーケティング研究」第3巻第1号も発刊した。さらに、活動についてFacebookによって発信することで還元を行った(4万views)。これら一連の独創的な活動が注目され、テレビ番組「大学のまち京都の力」でも特集された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、実装が予想以上に進み、意思決定の行動要因とメカニズムを導出できたため、それを精緻化していくため、幼児から高校生までを対象として年代別に意思表示の行動決定因子を探索的に研究するという新たな2年計画を策定した。 その1年目として、仮説を導出し、実装と効果測定により知見を得、成果の還元までを一通りすることができた。 しかし、確実性に欠けるため、2019年2月に開催した主催研究会では、多様な分野の研究者、実務家、医療関係者、政策立案者からのフィードバックを得ることができたため、それらを次年度に活かす所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に引き続き、「年代別の意思表示に資する行動決定因子の探索的研究」を行う。具体的には、前年度の知見とフィードバックを基に年代別の行動目標に適した科学的手法の開発・実装・検証をShare Your Value Project(SYVP)というアクションリサーチ組織で行う。 実装と効果検証の機会として10月20日に「MUSUBU2019」開催し、その前後の多様な機会を用いる。また,科学コミュニケーションや共創をテーマにした「サイエンスアゴラ」において、小学生から高校生への質的調査、社会実装の機会とする。 研究結果は、国内外の学術集会のみならず、多様な機会で市民に還元する。さらに、毎年2回「SYVPソーシャルマーケティング研究会」を主催し、研究成果を多用なステークホルダーに還元する。 さらに、最終年度として、高関与型向社会的行動の説明モデルの構築するためには、モデルへのfeedbackが必要である。そのため、学会報告(World Social Marketing Conference、日本移植学会、日本臨床腎移植学会など)、個別のインタビュー(UK, Australiaの専門家など)を通して多くのコメントをいただき、精緻化し、最終的に論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度、モデルの精緻化のためのインタビューとして、国際的な専門家の訪問を予定していたが実施できなかったこと、インタビュー内容のテープ起こし・データのインプット・成型をリサーチアシスタントに依頼するところ、自身で実施したため、金額に差異が生じました。 2019年度は、昨年度に引き続き仮説を実装(MUSUBU20119を主とした一連の啓発イベント)し、2020年2月に成果公表の研究会を主催するため、それらに支出する。 また、最終年であり、高関与型向社会的行動の説明モデルの構築のためには、モデルへのfeedbackが必要であり、そのための学会報告(国際ソーシャルマーケティング学会、日本移植学会、本臓器保存生物医学会学術集会、日本臨床腎移植学会など)、個別のインタビュー(Griffith University)を行う。 それらの知見を総合して最終的に論文化する。これらに使用する予定である。
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