保険薬局薬剤師連携による薬効・副作用発現の個人差に関する遺伝的要因の解明

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K08895
• Research Institution: Mukogawa Women's University
• Principal Investigator: 木下 健司 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70441219)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 薬物代謝酵素 / 一塩基遺伝子多型 / 個別化医療 / コピー数多型

Outline of Annual Research Achievements

平成２８－２９年度は、口腔内洗浄用スワブ(歯科用、素材:スポ ンジ)を使用して直接的に粘膜細胞を採取し、スポンジ内の唾液中の口腔粘膜細胞を機能性水溶紙に効率よく転写するプロセスを開発した。更に、採取した唾液サンプルを迅速及び確実に乾燥する新たなデバイスの開発を行った。水溶紙を装着したサンプリングキットは、コンタミネーションの防止、乾燥及び小片をパンチ出来る工夫をした。サンプリングキットの改良及び工程の簡略化により、更には、TaqMan PCR反応条件の変更に伴い、遺伝子検査の歩留まり率(正確性)を99.9%以上にすることに成功した。鎮咳薬デキストロメトロファン並びに乳がん治療薬タモキシフェンの薬物代謝酵素CYP2D6において1%以上のアリル頻度で日本人に観察されるSNPs(CYP2D6*1/*2/*10/*14)をTaqManプローブで検出する実験条件を開発した。さらには、上記サンプリング方法は口腔粘膜細胞数に個人差の少ない唾液採取法であるので、一塩基多型 と同様にTaqManプローブによるリアルタイムPCR反応でCYP2D6*5(欠損)のコピー数多型解析法を確立できた。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

開発中の遺伝子検査において、サンプリングキット及び工程の改良、更には、TaqMan PCR反応条件の変更に伴い、遺伝子検査の歩留まり率( 正確性)を99.9%以上にすることに成功した。平成29年度は、鎮咳薬デキストロメトロファン及び乳がん治療薬タモキシフェンの薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝多型検 査において1%以上のアリル頻度で日本人に観察されるSNPs(CYP2D6*1/*2/*10/*14)をTaqMan プローブで検出する実験条件に発展する ことが出来た。更には、上記サンプリング方法は口腔粘膜細胞数に個人差の少ない唾液採取法であるので、TaqMan プローブを用いた リアルタイムPCR反応でCYP2D6*5(欠損)のコピー数多型解析を多検体で実施出来る実験条件の確立に成功した。さらには、健常な学生の200名規模の薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型情報 解析を実施し、学会・論文発表等の準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、乾燥唾液検体を使用した遺伝子解析プロセスを鎮咳薬デキストロメトロファン及び乳がん治療薬タモキシフェンの薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型 (CYP2D6*1/*2/*5/*10 /*14) 解析法に展開させ、遺伝子解析法を確立した。薬物代謝酵素遺伝子情報を活用した個別化医療の実践教育技法を活用して、保険薬局薬剤師の 理解及び実践力を養成のためのトライアルを開始する。先ずは、薬剤師を対象に飲酒習慣とアルコール体質に関する調査を「女性の飲酒と健康について」と題した講演・セミナー形式で進めることを検討する。さらには、兵庫医科大学付属病院内分泌・乳腺外科との共同研究として、アルコール体質と乳がん罹患並びにタモキシフェンの代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型解析に関する対象症例研究の準備を進める。

Causes of Carryover

一昨年度に購入した遺伝子検査試薬である程度は遺伝子解析法確立が出来たために、一部を本年度に繰り越した。本年度は、薬剤師を対象とした大規模な啓発セミナー並びに乳がん患者を対象とした対象症例研究を実施する予定であり、関連学会、論文報告をする費用として支出する。