2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の心理社会経済的な側面と糖尿病アウトカムに関する前向きコホート研究
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16K08897
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
林野 泰明 天理医療大学, 医療学部, 特別研究員 (70432383)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 心理社会 / コホート / 臨床研究 / 疫学研究 / 糖尿病合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
天理よろづ相談所病院、内分泌内科に通院する糖尿病患者を対象として、2009年から約4000名の大規模レジストリを作成している。本年度は、2017年度の患者調査を行い、検査データ、薬剤データを医療情報部から取得し、データセットを作成した。2009年からのデータと統合し、本年度は糖尿病関連の合併症との関連、特にプロトンポンプ阻害薬と糖尿病合併症との関連について検討を行った。2011年にコホート研究に登録されている1型および2型糖尿病患者3,875人を対象とした。まず、ベースライン時に正常アルブミン尿を呈した患者群(1,711人)を対象にPPIの使用とアルブミン尿の発症〔微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿への進展と定義〕との関連について解析したところ、中央値で4.0年の追跡期間中に599人が微量アルブミン尿を発症した。プロペンシティスコアで調整したモデルを用いた解析で、PPIの使用とアルブミン尿の発症との間には有意な関連は認められなかった(ハザード比0.88、95%信頼区間0.77~1.01、P=0.058)。次に、ベースライン時に微量アルブミン尿を呈した患者群(1,279人)を対象にPPIの使用とアルブミン尿の進展との関連を解析したところ、中央値で3.7年の追跡期間中に290人でアルブミン尿の進展がみられたほか、中央値で3.8年間の追跡期間中に257人でeGFR値の40%以上の低下が認められた。傾向スコアで調整したモデルを用いた解析の結果、PPIの使用はアルブミン尿の進展(同1.24、0.87~1.79、P=0.236)、eGFR値の低下(同1.05、0.81~1.34、P=0.973)のいずれとも関連しなかった。本研究の成果は、国際的な糖尿病専門誌であるDiabetes Research and Clinical Practiceに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に予定していた患者の登録は終了し、同年度に採取したデータは全て入力、CRCによるダブルチェックを受けており、また、動粘度の検査データ、薬剤データを医療情報部から取得済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降も継続して年度ごとに調査票の作成、データの収集を行う。また、継続してデータセットの作成、統計解析を行い、結果を論文の形にまとめ、国内外の学会(日本糖尿病学会、糖尿病合併症学会、日本内科学会等)、査読のある関連雑誌(Diabetes Care、Diabetologia、Diabetic Medicine等)に発表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究補助者の雇用が想定していたより短期間となり、人件費・謝金の支出が想定を下回ったため。
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Research Products
(9 results)