2016 Fiscal Year Research-status Report
新規V-1/CP複合体を標的としたドパミン関連疾患根本治療の創薬研究
Project/Area Number |
16K08904
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川畑 伊知郎 東北大学, 薬学研究科, 助教 (30579743)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | V-1/CP複合体 / ドパミン / チロシン水酸化酵素 / アクチン重合 / 血清応答因子 / ドーパ脱炭酸酵素 / Nurr1 / NMDA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
V-1/CP複合体形成の促進はドパミン生合成酵素群(チロシン水酸化酵素TH/芳香族アミノ酸脱炭酸酵素AADC)およびその他のドパミン作動性マーカー(Nurr1/小胞性モノアミントランスポーター2VMAT2/ドパミントランスポーターDAT等)の発現レベルを統合的に上昇させ、in vitro, in vivoにおいてドパミン生合成を促進する(KAKENHI 23790594, 25860389)。今年度は新たに、V-1/CP複合体がどのような上流シグナルにより複合体形成を制御され、内在性シグナル伝達においてどのような生理的意義を有するのかを検証した。さらにV-1/CP複合体をターゲットとし、ドパミン作動性機能促進活性を持つV-1/CP複合体の活性化因子の探索を行った。CP結合不可能V-1遺伝子の導入実験系を用いたV-1/CP上流カスケード解析の結果、V-1/CP複合体はNMDA受容体またはニコチン性アセチルコリン受容体依存的なシグナル伝達に不可欠であることが明らかとなった。またV-1/CP複合体形成を促進し、ドパミン作動性マーカー群の発現増強とドパミン生合成量を増大させる化合物を見出すことに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
V-1/CP複合体形成を制御する内在性上流制御シグナルカスケードの探索について、未知であったV-1/CP複合体形成を制御する内在性活性化経路を明らかにすることができた。具体的には、NMDA受容体またはニコチン性アセチルコリン受容体依存的にV-1/CP複合体が活性化され、チロシン水酸化酵素(TH)や血清応答因子(SRF)の転写活性が促進される一方、V-1/CP複合体形成を阻害した状態では同受容体依存的シグナルは遮断された。また、V-1/CP複合体を活性化する新規化合物の探索について、各種天然化合物をスクリーニングした結果、V-1/CP複合体形成を促進し、ドパミン作動性マーカー群の発現を促進する化合物を見出すことに成功した。この促進活性はVSV-G/V-1(変異型)導入によるV-1/CP複合体形成阻害により抑制されたことからV-1/CP複合体の活性化による薬効発揮機構が明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究ではパーキンソン病等のドパミン関連疾患におけるV-1/CP複合体をターゲットとした神経変性の発生機構の解明と、新規化合物によるV-1/CP複合体活性化による改善効果を計画としている。そこで次年度では、特に実際のパーキンソン病患者中脳において、健常者と比較しV-1発現量やV-1/CP複合体形成量がどのように変化しているのかを、共同研究者である長谷川一子医師と連携し、主に免疫組織化学的手法により解析する予定である。さらに成長にともなうV-1タンパク質およびCPタンパク質のそれぞれの発現レベル変化と、V-1/CP複合体形成量の変化を、主にマウスを用いて継時的に検証する予定である。これらの解析により、老化やパーキンソン病発症にともないV-1/CP複合体依存的なドパミン作動性機能がどのように変化し脆弱性が現れるのかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
購入予定であった試薬(具体的には免疫組織化学的解析に用いる抗体)が国内取扱い中止となり、購入が延期されたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、研究遂行に必要な消耗品費を中心に使用することを計画している。
|