2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the onset mechanism of neuropathy caused by anticancer drug
Project/Area Number |
16K08908
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久米 学 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (10720922)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | シスプラチン / 炎症性サイトカイン / 神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラチナを含むがん化学療法が炎症性サイトカインに及ぼす影響について、ヒト血清を用いて検討した。シスプラチンまたはカルボプラチンを含む化学療法を施行した11例(それぞれ7例及び4例)の血清を用いて、IL-1β、IL-6、IL-8、TNF-αを測定した。うち2例については、プラチナ製剤を含まない化学療法中のサイトカインも測定した。結果、各サイトカインにおいて、レジメンに関わらず、投与後2週間程度でピークが認められ、同様の変動が確認されたが、サイトカインの変動とレジメンとの関連は認められなかった。 本研究では、炎症によるシスプラチンの血管透過性の変動について検討した。まず、血管膜モデルを構築し、TNF-αやIL-1βの共存時にシスプラチンの膜透過性が亢進することを明らかにした。このことから、手術直後の高度炎症状態におけるシスプラチンの血中濃度低下においては、サイトカインの影響を受ける可能性が示唆された。次に、シスプラチン処置時の膜透過性に及ぼす共存因子の影響を評価した。シスプラチン単独の処置においては処置時間依存的に膜透過量の亢進を認めた。また、サイトカラシンBとシスプラチンの共存により、細胞不在条件とほぼ同等のシスプラチン膜透過を認めた。最後に、ヒト血清を用いた化学療法とサイトカインの変動に関する検討においては、各サイトカインにおいて、レジメンに関わらず、投与後2週間程度でピークが認められ、同様の変動が認められたが、各サイトカインの変動とレジメンとの関連は認められなかった。 以上のことから、がん化学療法により炎症性サイトカインが変動することが明らかとなり、これによりプラチナ製剤の血管透過性が亢進する可能性が示唆された。 今後、血管透過性の亢進によるヒト神経細胞におけるプラチナ製剤の取り込み量の変動に関して更なる検討を行い、抗がん剤による神経障害の発現機序の解明に努めたい。
|