2017 Fiscal Year Research-status Report
機能性RNAネットワーク解析に基づくアルコール依存・再燃制御機構の解明
Project/Area Number |
16K08913
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
水尾 圭祐 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90459735)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アルコール / microRNA / toll-like receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アルコール依存形成動物の血中より得られたエクソソームを用いてmiR-132, miR-212, miR-146a およびlet-7bの発現変化をreal-time PCRにて行った。しかしながら、いずれのmicroRNAにおいても有意な変化が認められなかった。一方、前年度の結果を基に、脳内の腹側被蓋野にて変化が認められたmiR-146aならびにmiR-212のターゲットを探索し、toll-like receptor (TLR) 4 および TLR7を候補として見出した。そこで、アルコール依存時における脳内TLR4およびTLR7の発現変化をウェスタンブロット法にて検討した。その結果、TLR4およびTLR7ともに腹側被蓋野領域において有意な発現上昇が認められた。次に、アルコール依存形成におけるTLR4およびTLR7の役割を検討するため、まず、TLR4の阻害薬であるTAK-242を一日一回脳室内投与し、アルコール依存形成に及ぼす影響を検討した。しかしながら、TAK-242の脳室内投与ではアルコール依存形成後の離脱症状を抑制することができなかった。また、アルコール依存動物で認められたTLR4の増加はTAK-242の投与によっても抑制が認められなかった。これらのことより、TAK-242の投与が効果を示していないことが示唆される。そこで、オスモティックミニポンプによるTAK-242の持続的な注入を試みた。その結果、アルコール依存形成後の離脱症状が抑制傾向にあることが認められた。したがって、アルコール依存形成に腹側被蓋野領域のTLR4の活性化が一部関与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血中から得られたエクソソームにおいて予想していたmicroRNAの発現変化が得られていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、血中のエクソソーム由来miRNAの発現変化について、網羅的な解析が必要と思われるため、miR arrayを用いた解析を行う予定である。また、脳内のtoll-like receptorの関与についても引き続き例数を追加し、検討を行っていく。
|
Causes of Carryover |
次年度仕様額が生じた理由は使用する器具および試薬等が現在所有しているものでまかなえるものがあったことから物品費に少し余裕ができたことおよび次年度の学会発表のために旅費に充当させたかった。 使用計画としては物品費、人件費、謝金およびその他に関しては計画通り使用する。旅費に関しては前年度の残りを充当させる。
|