2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08927
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
清宮 正徳 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 准教授 (20554265)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 一之 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 異常反応 / M蛋白 / 異常ヘモグロビン / 誤診 |
Outline of Annual Research Achievements |
生化学検査自動分析装置による新規異常反応検出法のパラメータを設定する目的で、10日間・7184症例における各種検査結果(46項目)・139,097テストの反応過程を分析した。分析方法は、従来の第1試薬試料混合後の主・副波長、第2試薬添加後の副波長、測光ポイントの各吸光度の分散に加え、今回新たに第1試薬添加後の1.7分後と5分後の主波長の吸光度差を算出し、その分散値の10倍を異常検出のための閾値とした。その結果、異常検出されたのは、従来法で82件、新設定法で57件の系139件であった。これらについて、反応タイムコースを詳細に観察した結果、異常蛋白による混濁は16件であり、うち5症例は新法で初めて検出された。異常が認められた検査項目は、アルブミン、CRP、総ビリルビン、抱合型ビリルビン、LDLコレステロール、HDLコレステロールであった。以上より、新検出法は濁りの異常反応の検出に有効と考えられた。 次に、HbA1c測定における、異常ヘモグロビン(Hb)症例の効率的検出の為に、HbA1c値と、グルコース値(Glu)およびグリコアルブミン値(GA)との相関性を調査した。1180症例におけるHbA1cと、GluおよびGAとの相関係数は、それぞれ0.75, 0.56であり、Sy・xはそれぞれ0.10, 1.24であった。95%信頼区間である回帰直線±2×Sy・x以内を許容域とした時の許容域を外れた症例はGluで63症例(5.3%) 、GAで71例(6.0%)であった。これらの症例には、異常Hbの他に、肝機能障害、甲状腺疾患、貧血等が含まれた。一方これまでに千葉大学病院で検出した異常Hb 26症例では、それぞれ12例(46.2%)および10例(38.5%) が許容域から外れた。したがって、異常Hb症例の半数近くは、今回の方法で検出できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生化学検査自動分析装置による異常反応検出については、約14万テストの多量データを新たな解析手法で解析した結果、これまでの方法で検出できなかった異常反応が検出された。本検出法の閾値を詳細に吟味することで、さらに高効率に異常反応を検出できる可能性がある。 異常ヘモグロビン症例の効率的な検出法については、異常ヘモグロビンの半数近くはグルコース値やグリコアルブミン値との相関性の解離から検出できることが確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
生化学検査自動分析装置による異常反応検出については、新規検出方法の閾値の吟味を行った上で、さらに多数症例における検出効果の検証を実施する。また異常反応が確認された症例については、異常反応による検査結果への影響の有無を調査すると共に、これらの検体の異常蛋白の存在を確認する。血清中総蛋白、アルブミン、IgG、IgA、IgMの分析を行うと共に、蛋白質電気泳動および免疫固定法を実施してM蛋白の検出を試みる。 異常ヘモグロビン症例の検討では、新規検出手法の効果を検証する。また異常ヘモグロビンが疑われた症例については、長時間HPLC法により異常ヘモグロビンの確認を実施し、異常ピーク画分の面積からHbA1c値の再計算を行うと共に、酵素法および免疫法によるHbA1c値、そしてこのような異常ヘモグロビン存在時に有用とされるアフィニティー法によるグリコヘモグロビン測定値からのHbA1c値予測値を算出する。そして各種HbA1c値およびグリコアルブミン値、空腹時血糖値等より糖代謝異常の有無を予測する。
|
Causes of Carryover |
予定していた謝金および論文投稿関連の手数料が発生しなかった為。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿におけるネイティブチェックおよび投稿手数料等に使用する予定。
|
Research Products
(10 results)