2017 Fiscal Year Research-status Report
新規腎疾患マーカーとしての血中・尿中アンジオポエチン様蛋白4の解析と治療薬の探索
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16K08931
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鳥居 国雄 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 主任臨床検査技師 (40534045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 秀樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (20283187)
岩野 正之 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (20275324)
菅谷 健 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 客員教授 (40381561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Angptl4 / 腎疾患 / 糸球体上皮細胞 / 尿細管上皮細胞 / PPAR / 飢餓状態 / ドキソルビシン |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 健常者における血中・尿中Angptl4の基準範囲設定と臨床規定因子の解析: 福井大学医学部職員健診時の採血検体を100例追加してAngptl4を測定した。同検体の一般生化学項目は、現在測定中である。 2) 腎疾患における血中・尿中Angptl4測定の臨床的意義の解析: 本年度は陰性バリア障害の微小変化型ネフローゼ症候群7例、血管壁障害が存在する増殖性腎炎8例、膜性腎症8例、巣状糸球体硬化症2例を診断した。 3)各種培養細胞におけるAngptl4発現動態の解析と発現制御薬の検討: マウス糸球体上皮細胞の培養細胞では、PPAR-δの活性化薬(GW516)と飢餓状態でAngptl4発現が増強し、PPAR-α活性化薬(FF)では、その発現は6時間で軽度増加し、24時間では低下した。飢餓とFFの併用ではその発現は6時間で有意に低下した。ドキソルビシン(Dox)刺激では、その発現が有意に低下し、FFの併用でさらに低下した。マウス近位尿細管細胞では、PPAR-δの活性化薬(GW0742)はAngptl4発現を著明に増強(PPAR-δ依存性)し、FFは抑制した。シスプラチン刺激では、その発現が中等度増強し、FFの併用ではその発現は変化なく、GW0742の併用ではAngptl4発現がさらに増強した。 4)マウス組織でのAngptl4発現動態の解析: PPAR-α欠損マウスでは対照に比して食事摂取下では肝・腎組織のAngptl4発現が有意に低下し、飢餓状態では、両群ともに有意に同程度に増加した。Dox腎障害ではAngptl4発現が増強するが、その程度は欠損マウスで有意に低下していた。 培養腎細胞では、Angptl4発現はPPAR-αで抑制的であったが、マウスでは増強的と推測された。また、腎細胞ではPPAR-αとδで異なるAngptl4発現作用を呈した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎疾患の検体の収集が予定より遅れたことにより、一括測定を予定していたため腎疾患患者での血中・尿中のAngptl4の測定ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまで収集した腎疾患の尿・血清検体でangptl4を中心に迅速に測定し、他の臨床検査項目の経過との相関性を解析し臨床的意義を検討していきたい。また、2年間で収集した腎組織については、Angptl4に関して免疫染色を実施し、この点からも意義を検討していく。
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Causes of Carryover |
腎疾患の症例数が少なく、収集した尿と血清の検体数が予定よりも少なかったため、一期的にELISAで測定することができず、測定キットを購入する必要がなかった。また、検体の凍結融解を避けるために、それに付随した生化学検査項目の測定も延期され、この部分の試薬購入も次年度になった。 次年度は、健常者の検体を含めて腎疾患患者の検体を年度前半に一期的に測定し、迅速に解析していく予定である。また、マウスとヒトの腎組織でAngptl4の免疫染色も迅速に進めていき、血清、尿のマーカーだけでなく組織での変動も合わせて解析していく。
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Research Products
(7 results)