2017 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性気道炎症の治療ターゲットとしてのステロイド受容体の局在と機能の解析
Project/Area Number |
16K08951
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小林 良樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (10375298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 晃 関西医科大学, 医学部, 講師 (70375244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 好酸球 / 好酸球性副鼻腔炎 / ステロイド感受性 / ステロイド受容体 / ホスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度における検討において、鼻ポリープ由来の上皮細胞と線維芽細胞においては、後者においてステロイド感受性が低下していることがわかったことを踏まえ、本年度は、①コントロール(アレルギー性鼻炎)における鈎状突起由来上皮細胞、②好酸球性副鼻腔炎(ECRS)症例における鈎状突起由来上皮細胞、③ECRS症例おける鼻ポリープ由来上皮細胞、④ECRS症例における鼻ポリープ由来線維芽細胞の4グループに分けて、ステロイド受容体(GR)およびGR機能に関与するホスファターゼの発現を確認した。機能的GR(GRα)、PP2A、PTP-RRともに①>②=③>④の順にそれらの発現が低下しており、実際のステロイド感受性と相関していた。 気道局所におけるホスファターゼPP2Aの発現低下とステロイド感受性低下の関与を確認するために、気道上皮細胞株BEAS-2BでPP2AをsiRNAを用いてノックダウンした系を確立した。PP2AをノックダウンさせるとGRの核内移行が低下することが確認できた。一方で、PP2Aに対する活性効果を有する長時間作動型気管支拡張剤(LABA)を用いて、上記③をLABAで治療するとGRの核内移行が改善することが確認できた。現在は、その応用としてプラスミドDNAを用いたPP2Aのノックインモデルの作成に取り組んでいる。 また、臨床におけるステロイド感受性マーカーとして末梢血単核球細胞を用いたIn Cell Western AssayでGR核内移行能の指標となるGR-Ser226のリン酸化の定量方法についてもある程度検討が進んできている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
好酸球性副鼻腔炎(ECRS)症例の局所サンプルの入手が困難であることが大きな原因としてあげられる。術前の局所ステロイド(場合によっては全身ステロイド)治療により局所の炎症がマスクされていることがあり、術前のステロイド治療が極力行われていない症例からのサンプリングを試みているために解析が遅れている。 また、昨年と同様に凍結標本からの免疫染色方法において、サンプル調製(ホールマウントのポリープ切片)がうまくいかなかったことも原因としてあげられる。 なお、腫瘍細胞のように部分的に巣状に増殖してくることがないため、一つの切片におけるステロイド受容体の分布が極端に偏っていることがなく、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションを用いた解析が困難であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、炎症局所の上皮細胞が治療ターゲットとなることが予測されるが、副鼻腔のエリアによるホスファターゼの発現、ステロイド受容体(GR)の発現および機能の違いを明らかにして行く必要がある。現在、鼻甲介、副鼻腔の複数箇所からの気道粘膜およびポリープを採取し、副鼻腔内エリアによる相違を検討することを計画している。 なお、凍結標本からの免疫染色法は同じ研究室の研究員が確立しつつあるため、ポリープ内におけるGRおよびGR機能に関与するホスファターゼなどの分布・発現を視覚的にも検証することが期待できる。 気道上皮細胞におけるターゲットホスファターゼのsiRNAによるノックダウンの系はある程度確立してきたので、今後は、プラスミドDNAを用いたノックインの系を立ち上げて、治療応用の可能性を探っていきたい。
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Causes of Carryover |
多少の計画の遅れが生じたことで、特にサンプル採取やその培養に要する消耗品に計上していた予算が残ったと考えられる。サンプル採取は平成30年度も引き続き行うためにその消耗品に使用するとともに、治療応用を検証するためにプラスミドDNAのノックインモデルの確立を試みるためにその試薬にも使用する予定である。
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Research Products
(1 results)