2016 Fiscal Year Research-status Report
高TG,低HDL血症を中心とした脂質異常症関連遺伝子解析
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16K08955
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松永 彰 福岡大学, 医学部, 教授 (60221587)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂質異常症 / 遺伝子解析 / 次世代シーケンサー / 高トリグリセライド血症 / 低HDLコレステロール血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における脂質異常症, 特に高トリグリセライド(TG)血症および低HDLコレステロール(HDL-C)血症に及ぼす種々の遺伝因子を明らかとすることを目標としている。 福岡大学病院での脂質検査症例を、血清脂質値, リポ蛋白値および臨床経過よりWHO分類5型に分類後、特に高TG血症および低HDL-C血症に注目して解析を行っている。血中白血球分画よりDNAを抽出し, 脂質異常症関連遺伝子の複数遺伝子の変異・SNP解析を行い, 脂質異常症との関係を明らかとする研究を行っている。 現在までに次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析の手法を習得し、脂質異常症との関連が報告されているAPOA1, APOA5, APOB, APOC2、APOC3、APOE、LDLR、PCSK9、LDLRAP1、LPL、LIPC、GPIHBP1, ANGPTL3、SCARB1を含む200を超える遺伝子について網羅的に遺伝子解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目標は、特に高TG血症および低HDL-C血症にフォーカスをあて種々の遺伝因子を明らかとするこである。少数例ではあるが、高TG血症および低HDL-C血症症例の遺伝子解析を行った。低HDL-C血症に関しては、低栄養による総コレステロール低値例を除いて解析しているが、高TG血症を合併した低HDL-C血症は完全に除くことができず、高TG血症と類似した遺伝子異常が原因の候補にあがっている状況である。多数の遺伝子変異が検出されているが、原因遺伝子の特定には時間を要する状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を継続する。福岡大学病院臨床検査部に、総コレステロール(TC)、TG、HDL-C、LDLコレステロール(LDL-C)の測定依頼のあった年間約12,000検体より、V型高脂血症、高HDL-C血症群、高LDL-C血症を、それぞれTG >1000mg/dL、HDL-C >100mg/dL、LDL-C >200mg/dLの基準にてスクリーニングを行っている。低HDL-C血症については、低TC血症、高TG血症を除いた上でHDL-C <30mg/dLの症例をスクリーニングしている。 当該科の許可を得、患者に文書による同意を得た後、2次性脂質異常症が除外され、他に原因がなく遺伝的背景が疑われる症例に対して、脂質異常症関連遺伝子および血清脂質の解析を継続していく。 また、福岡大学病院循環器内科を受診し、V型高脂血症、高HDL-C血症、低HDL-C血症、高LDL-C血症、III型高脂血症およびリポ蛋白糸球体症などの脂質関連腎疾患群が疑われた症例に対して、文書による同意を得た後、脂質異常症関連遺伝子および血清脂質の解析を行う。
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Causes of Carryover |
人件費に使用しなかったこと、次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析手法習得に時間を要し、研究の展開が遅れたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を重点的に行うことにより、研究の遅れを挽回する。
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