2017 Fiscal Year Research-status Report
癌診断と再発リスク評価における尿中ジアセチルスペルミンの新たな臨床的意義
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16K08957
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| Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
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Principal Investigator |
平松 恭子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (80181189)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川喜田 正夫 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (00012740)
遠藤 典子 (岩田典子) 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (80546630) [Withdrawn]
大城戸 真喜子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30287304)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ジアセチルスペルミン / 腫瘍マーカー / 尿検査 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
尿中ジアセチルスペルミン（DiAcSpm）は、早期の大腸癌、乳癌を含む各種の癌に対して高い癌検出能を示し、被験者に苦痛を与えない非侵襲的検査が可能な汎用腫瘍マーカーである。近年の研究を通じて我々は、DiAcSpmが肺癌の浸潤性と関連するほか、大腸癌、肺癌等の再発リスク評価に役立つ可能性があることを見出した。そこで、これらの研究をさらに発展させ、各種の癌における尿中DiAcSpm測定の意義の解明を通じてDiAcSpm検査の臨床的意義を確立することを目的として研究を行った。
29年度には、大腸癌の予後予測における術前腫瘍マーカー値の活用についての検討を進め、手術後治療方針の策定において重要な、II期大腸癌患者の早期再発リスクがDiAcSpm、CEAの両腫瘍マーカー値と手術検体の病理検査における静脈侵襲情報を組合わせることによって効果的に推定できることを明らかにすることができた。
また、各種小児癌においては、健常小児のDiAcSpm値の年齢依存性と個人差が大きいことに鑑み、質量分析法を利用してDiAcSpmとともにジアセチルスペルミジン（DiAcSpd）を測定する方法を構築し、DiAcSpdの有効性を示す予備的な結果を得ることができた。
これらの研究と並行して、細胞、組織の悪性化に伴ってDiAcSpmが上昇する仕組みを生化学的に解明するために、腸管腫瘍を多発するApc遺伝子ヘテロ欠損マウス（Minマウス）を用いたデキストラン硫酸投与による大腸癌発生誘導モデルの研究を開始した。これまでに、腫瘍組織および隣接正常組織のDiAcSpm含量を比較し、腫瘍部分でDiAcSpmが上昇していることを示唆する結果が得られており、現在、この上昇の仕組みを明らかにするために、腫瘍形成過程におけるポリアミン代謝酵素活性の測定を開始している。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、全体としては当初の計画に沿って研究が進展しており、有用な知見が得られているほか、今後の研究の方向性を示す予備的な結果が得られていると判断している。
II期大腸癌に関しては、術後補助化学療法の適応とするかどうかを判断する臨床指標が強く求められている。本年度の研究結果は、このような臨床需要に応えるものであり、有用な知見であると考えられる。また、小児癌に関して年齢依存性と個人差が大きいというDiAcSpmの問題点を強く示唆する結果が得られたことは、本研究の次年度の展開を図る上で大きな意義があると考えられる。
Apc遺伝子欠損Minマウスを利用した癌化とDiAcSpmの関連の研究については、実験系を確立することができ、解析の方向性が定まったということができる。最終年度にあたる30年度に本格的な解析を進めたいと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究がおおむね順調に進んでいることに鑑み、基本的には当初の計画に沿った方向で研究を進めようと考えている。
１．大腸癌、肺癌に関しては早期再発リスクの評価について、肺癌における手術前値と再発予後の関連の解析を行うとともに、大腸癌の再発、増悪例について、再発、増悪発見時における腫瘍マーカー値その他の臨床指標を精査し、再発検知の手段としてのDiAcSpmの有用性についても検討する。
２．各種の小児癌については、DiAcSpmに関しては特に有効と考えられる血液疾患患者の測定と、有効性が期待される同一患者の継続観察を中心に研究を進めたい。また、新たに測定可能となったDiAcSpdに関しては、年齢依存性と個人差がDiAcSpmより小さいという利点を生かして各種の疾患に適用できるかどうかを中心に解析を進める。
３．Minマウスを用いたデキストラン硫酸投与による大腸癌発生誘導モデルを利用して、癌化に伴う腫瘍組織のDiAcSpm含量の変化とDiAcSpm合成・分解系の酵素の発現、活性の変化などとの関連について詳細に検討する。ポリアミン量及び酵素活性の測定には、各種の安定同位体標識ポリアミンを合成し、質量分析法で酵素活性を測定する手法が既に確立されており、これを用いることができる。この方法によれば、直径数mmのマウス腸管腫瘍から得られる少量、且つ夾雑物の多い組織抽出液中の酵素活性を正確に測定することができる。組織のポリアミン含量については、質量分析法および、HPLCによる一斉分画分析法を併用する。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由： Apcヘテロ遺伝子欠損マウスを用いた大腸癌モデルの解析の立ち上げがやや遅れたため、コロニーの拡大を見込んだマウスの飼育費、酵素活性や細胞内ポリアミンの質量分析その他の方法による測定のための試薬などの支出が予想よりも大幅に少なかった。
使用計画： 最終年度においては慈恵医大の大城戸博士を新たに研究分担者に加えてApc遺伝子ヘテロ欠損マウスを用いた大腸癌モデルの解析を積極的に進める予定であり、29年度からの繰り越し分の多くをMinマウス系統の維持および動物実験に必要な飼育費その他の経費、マウス飼育および遺伝子型解析のための人件費、および、ポリアミン量、および、ポリアミン代謝酵素活性測定のための高価な基質等の材料費として充当したいと考えている。
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Research Products
(5 results)
