2017 Fiscal Year Research-status Report
ムコ多糖症II型に対する新生児スクリーニングと確定診断法の開発
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16K08958
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
真嶋 隆一 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臨床検査部, 専門職 (00401365)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ムコ多糖症 / ID2S / 酵素活性 / LC-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続きムコ多糖症II型の原因酵素であるイヅロネート-2-スルファターゼの酵素活性測定系の検討を進めた。、酵素源として、全血を臨床検査用のろ紙にしみこませることにより調製した乾燥濾紙血(dried blood spot, DBS)を用いた。酵素活性は、酸性条件下、内部標準物質を含む反応バッファーを用いて反応させた。反応生成物は、酢酸エチルを用いた液液分配により有機層に回収後、窒素吹付装置を利用して一度乾固し、最終的にはLC-MSの開始溶媒を用いて再溶解した。得られた酵素活性値が臨床検査学的に許容されるか検討するため、測定値の日内および日間誤差を検討したところ、おおむね30%以内であった。また、正常酵素活性に比して5%の酵素活性を含むQC検体を測定したところ大体予想される酵素活性値が得られたため、定量下限は正常酵素活性値の数%であることが確認された。また酵素活性値の直線性についても良好な値が得られた。さらに健常人DBSを用いて酵素活性の頻度分布を求めたところ、これまでに明らかにされている頻度分布と同様な結果が得られた。また、これまでに別の方法で罹患が確認されている検体の酵素活性値を本方法で測定したところ、酵素活性値は予想通り低値を示した。この時、別に測定した他の酵素活性値はいずれも正常であった。以上、ムコ多糖症II型の原因酵素イヅロネート-2-スルファターゼの酵素活性は、内部標準物質を用いたLC-MS/MSにて、正確かつ高感度に測定可能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、おおむね順調に計画が進行している。その理由は、平成29年度の目標は酵素活性測定系の検討を行うこととしたのに対して、当初の計画よりも少し早く日間誤差を含めた所定のバリデーションデータが取れ、健常人の酵素活性値の分布を大まかに知ることができたからである。酵素活性測定用の基質はパーキンエルマー社(横浜)より購入した。質量分析装置はQuattro Premier XE (Waters社)を使用した。酵素反応生成物及び内部標準物質はMRM法を用いて高選択的に検出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、平成29年度に検討した内部標準物質を利用したムコ多糖症II型の原因酵素イズロネートー2-スルファターゼの酵素活性測定法を臨床検体へ応用することである。酵素反応生成物の定量には、引き続きLC-MS/MSを用いる。本研究申請ではイズロネートー2-スルファターゼの酵素活性の測定法を確立することを目的としているが、これまでの進捗状況はおおむね順調であるため、今後、余裕があれば他の酵素活性を同時に測定できる分析条件の検討も進めたい。
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Causes of Carryover |
旅費の支出につき、通常より経済的な交通経路や宿泊施設を利用したため次年度使用額が生じた。本年度に発生した次年度使用額は、翌年度として請求した助成金と合わせて当初の研究計画に従った使用を計画している。
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Research Products
(15 results)