2017 Fiscal Year Research-status Report
原発性アルドステロン症の病態・予後予測因子としてのゲノム・エピゲノム因子の意義
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16K08962
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉本 貴宣 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (80297457)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルドステロン / 副腎腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、手術で得られた副腎腫瘍検体のDNA、RNA検体を用いて、ホルモン産生副腎腫瘍のなかでも、アルドステロン産生腺腫(APA)(KCNJ5体細胞変異例:29、ATP1A1:2、ATP2B3:1、CACNA1D:1、CTNNB1:1、既知変異なし:3)の中でKCNJ5体細胞変異例とそれ以外のAPAの差異を、対照としてコルチゾル産生腺腫(CPA:5例)を用い、トランスクリプトーム、メチロームなどのマルチオミクス解析で比較検討を行った。RNAシークエンスを用いたトランスクリプトーム解析では、非階層クラスター解析および主成分解析においてKCNJ5変異APAは他のAPAと異なり、極めて均一な遺伝子発現動態を示した。Gene ontology解析ではKCNJ5変異APAの特徴として細胞膜関連の遺伝子群の変化が多いこと、Pathway解析でWntシグナル系の発現増加、炎症関連遺伝子の発現減少が示された。既存の正常副腎皮質3層でのgene expression omnivusデータベースとの比較解析では、KCNJ5変異APAは副腎皮質球状層と類似した遺伝子発現同定を示した。メチローム解析の比較では、KCNJ5変異APAでは、他のAPAと比べ全ゲノムレベルでの低メチル化を示すことが明らかとなった。さらに KCNJ5変異APAに特異的にプロモーター低メチル化、遺伝子発現増加を示す遺伝子を同定した(TNNT2, GALNT9, MPP4, ACOT11, PKD1L2)。今回の検討により、KCNJ5変異APAは、他のAPAと比べ極めて均質な遺伝子発現パターンと特徴的なDNA低メチル化を共有するAPA群であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗は順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究でAPAにおいて特異的な体細胞遺伝子変異により、エピジェネティックに異なる動態示すことから、次年度は他のエピジェネティック因子であるmicroRNAomeについても検討の幅を広げ、PAのバイオマーカーとしてのmicroRNAの意義について検討行う予定である。
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