2016 Fiscal Year Research-status Report
アンチトロンビン抵抗性検出における抗血栓薬治療の影響を回避する新規検出法の開発
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16K08967
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 明 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (30135371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (40161913)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 変異型プロトロンビン / プロトロンビンアクチベータ |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型ヒトプロトロンビン全長cDNAを鋳型として変異導入PCR法を用いてp. 596 Argのほか、アンチトロンビンとの親和性に関連する部位(p.540Thr、p.541Arg、p.592Glu、p.599Lysなど)および患者から同定したp.380Met、p.431Arg変異型ヒトプロトロンビン全長cDNAを作製した。さらに、野生型および変異型プロトロンビンcDNAを哺乳動物細胞用の発現ベクターpcDNA3.1に組み込み、ヒト胎児由来培養細胞株HEK293に遺伝子導入後、G418によりネオマイシン耐性および培養上清のドットブロッティング解析によりスクリーニングし、ELISAによりプロトロンビンを定量し、野生型および変異型プロトロンビン高発現HEK293細胞株を樹立した。しかし、高発現細胞株より得られたプロトロンビンは抗原量当たりの活性(比活性)が低い傾向にあった、翻訳後修飾のγ-カルボキシ化がタンパク発現量に追いついていないと考え、中程度発現細胞株を再検討し比活性の良好なプロトロンビンを産生する発現細胞株を得ることができた。 生理的プロトロンアクチベータとして、ウシ活性型第Ⅹ因子・ウシ第Ⅴ因子・リン脂質・カルシウムイオン複合体を使用し、蛇毒由来プロトロンアクチベータとしてNotechis scutatus蛇毒およびOxyuranus scutellatus蛇毒による測定系開発に向けたプロトロンビン活性化法についてpH、イオン強度、第Ⅴ因子・リン脂質の必要性および至適濃度、反応時間などのプロトロンビン活性化至適条件を設定し、それぞれの変異体ごとに再確認を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型ヒトプロトロンビン全長cDNAを鋳型として変異導入PCR法を用いてp. 596 Argのほか、アンチトロンビンとの親和性に関連する部位(p.540Thr、p.541Arg、p.592Glu、p.599Lysなど)および患者から同定したp.380Met、p.431Arg変異型ヒトプロトロンビン全長cDNAを作製し、野生型および変異型プロトロンビンcDNAを哺乳動物細胞用の発現ベクターpcDNA3.1に組み込むまでは順調に推移した。ヒト胎児由来培養細胞株HEK293に遺伝子導入後、G418によりネオマイシン耐性および培養上清のドットブロッティング解析によりスクリーニングし、ELISAによりプロトロンビンを定量し、野生型および変異型プロトロンビン発現HEK293細胞株を樹立した。しかし、当初選択した高発現細胞株より得られたプロトロンビンは抗原量当たりの活性(比活性)が低い傾向にあることが判明し、翻訳後修飾(γ-カルボキシ化)がタンパク発現量に追いついていないと考え、中程度発現細胞株を再検討し比活性の良好なプロトロンビンを産生する発現細胞株を得ることができた。 使い勝手が良いため従来からたびたび使用してきた蛇毒由来プロトロンビンアクチベータがワシントン条約の影響で入手困難となったため、安定的に入手可能と考えられる家畜由来のプロトロンビンアクチベータ(ウシ活性型第Ⅹ因子・ウシ第Ⅴ因子・リン脂質・カルシウムイオン複合体)を使用し、蛇毒由来プロトロンアクチベータとしてNotechis scutatus蛇毒およびOxyuranus scutellatus蛇毒による測定系との比較のため、それぞれプロトロンビン活性化法についてpH、イオン強度、第Ⅴ因子・リン脂質の必要性および至適濃度、反応時間などのプロトロンビン活性化至適条件を設定し、野生型および変異型プロトロンビンの比較を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型および変異型リコンビナントプロトロンビンとプロトロンビン欠乏血漿を用いた患者血漿モデルを作製し、検討を進める。患者が抗血栓薬を使用している場合、検体血漿中に混在する抗血栓薬(ヘパリン類、直接的抗トロンビン薬、直接的抗Xa薬)の影響が様々に考えられる。ヘパリン類は検体中のアンチトロンビンに作用し、即時型の抗Xa活性を示しプロトロンビン活性化相には阻害的に作用するとともにアンチトロンビンによる不活化相では不活化速度を上げる効果が予想される。考案したアンチトロンビン抵抗性検出法に及ぼす影響について検討し、ヘパリン類の中和剤としてポリブレンや硫酸プロタミンを使用し、中和薬としての効果とアンチトロンビン抵抗性検出系への影響を観察する。 直接的抗Xa薬はプロトロンビン活性化相に影響することが考えられる。直接的抗Xa薬が含まれる患者血漿モデルを用いて影響の程度を観察する。現時点では、測定系に使用可能な中和薬がないので検体希釈による影響の軽減について検討する。 直接的抗トロンビン薬はアンチトロンビンによるトロンビン不活化相において正誤差を与えることが考えられる。直接的抗トロンビン薬が含まれる患者血漿モデルを用いて影響の程度を観察する。トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)はELISAで測定できるの直接的抗トロンビン薬共存がTAT形成に及ぼす影響を観察する。 活性型血液凝固第X因子も生理的には主にアンチトロンビンにより不活化される。第Xa因子にもアンチトロンビン抵抗性を示す変異が想定できるが、第X因子発現系の構築はプロトロンビン発現系よりも翻訳後修飾のステップが多く、血中への発現量が少ないことから困難なことが予想される。翻訳後修飾に働くFurinの共発現や第X因子自体のプロペプチド置換体などを作製し、効率の良い第X因子発現系の構築を目指す。
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[Journal Article] Clinical and biochemical characterization of the prothrombin Belgrade mutation in a large Serbian pedigree: new insights into the antithrombin resistance mechanism.2017
Author(s)
Miljic P, Gvozdenov M, Takagi Y, Takagi A, Pruner I, Dragojevic M, Tomic B, Bodrozic J, Kojima T, Radojkovic D, Djordjevic V.
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Journal Title
J Thromb Haemost.
Volume: 15
Pages: 670-677
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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