2016 Fiscal Year Research-status Report
超高感度メチル化解析法を用いた便DNA検査による大腸腫瘍スクリーニング精度の検証
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16K08969
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末広 寛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40290978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 隆弘 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00304478)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 便DNA検査 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がんスクリーニングに用いられる便潜血検査は進行腺腫(直径1cm以上あるいは高度異型や絨毛状成分を有する腺腫で発がんリスクが高い。粘膜内がんも含まれる)の検査感度が20-30%と低いため、検出率のより高い検査法の開発が必要である。その一つとして便中の大腸腫瘍特異的マーカー遺伝子を検出する「便DNA検査」が挙げられる。本研究者は「便DNA検査」に応用可能な大腸がんのバイオマーカーであるメチル化TWIST1を世界で初めて発見している。さらに、低コストで1コピーのメチル化遺伝子をも検出可能な「超高感度メチル化解析法」を開発し、便DNA検査成功率100%を達成している。本研究者が開発した便DNA検査の方法は、必要な便重量はわずか200ミリグラム(ピーナツ大)ですむため、検体を比較的安全に扱うことが可能である。またDNA前処理は酵素反応のみと単純であり、検査費用が安いという利点がある。 平成28年度の研究成果としては、本技術を用いた便DNA検査(メチル化TWSIT1検出)による進行腺腫の検査感度55%、特異度100%という予備データを得ている。また、TWIST1の他にも3遺伝子がターゲットとなることを予備実験で確認し、そのうちの1つの検討結果により、進行腺腫の検査感度62%、特異度100%という予備データも得ている。 進行腺腫を含む腺腫の段階でのポリープ切除により大腸がんの死亡率減少につながることは科学的に証明されているため、本技術をがん検診に導入することで、結果として国民の大腸がん死亡率減少を実現できることが大いに期待できる。平成29年度以降も引き続き本検査による大腸進行腺腫スクリーニング精度を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸腫瘍患者の便検体および便DNA検査結果データは順調に得られている。一方で、健常者の便検体が思ったように集まっていないため、ケース・コントロールスタディとしては比較群別の検体数バランスが悪い。。本研究に参加する健常者は下部消化管内視鏡検査を受けていただく必要があるが、下部消化管内視鏡検査に侵襲性があることや羞恥心といった問題から、本研究への参加の同意が得られにくいのが現状である。今後この課題を解決し、健常者サンプルの数を増やしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者便サンプルを集めるために、人間ドックを有する病院や診療所と連携を組む予定である。また、職場健診の時期に合わせて本研究への参加者を募る予定であり、研究案内の資料等を作成予定である。
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Causes of Carryover |
健常者に対する検査費用として予算を計上していたが、前述の通り健常者の研究参加数が少なかったため、今年度の検査費用が当初見積りよりも下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度においては、今年度に達成できなかった健常者登録数を平成29年度分に上乗せして被験者を集める予定である。
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