2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of pathogenesis of megakaryocyte maturation disorder in idiopathic thrombocytopenic purpura
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16K08973
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90407114)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 特発性血小板減少性紫斑病 / 巨核球 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) 患者血漿からRI標識した巨核球を用いた免疫沈降法より約120kDa蛋白を認識する自己抗体を見出した。その後、約120kDa蛋白の抗原解析を行ったところ、ヘキソキナーゼⅠ(HKⅠ) が候補となり、HKⅠに対する自己抗体の可能性が考えられた。 平成30年度は抗HKⅠ抗体について、さらに検討を行なった。まず、リコンビナントHKⅠを用いて免疫沈降/ウエスタンブロット法を行ない、ITP患者血漿から見出された自己抗体が抗HKⅠ抗体であるかを確認した。その結果、約120KDa蛋白を認識した自己抗体陽性の全例で免疫沈降/ウエスタンブロット法でも全て陽性となり、自己抗体は抗HKⅠ抗体であることが明らかとなった。抗HKⅠ抗体はITP患者113例中9例 (8.0%) で認められ、健常人22例では検出されなかった。HKⅠは身体中の細胞の細胞質やミトコンドリアに遍在的に分布しており、解糖系の酵素として知られている。血小板にも解糖系が備わっているため、HKⅠが存在する。間接蛍光抗体法を用いて、抗HKⅠ抗体陽性ITP血漿を反応させたところ、HKⅠが局在する細胞質が染色され、特に核の周辺が強く反応した。さらに、血球系の細胞株 (K562、UT-7/TPO、CMK-86、MEG-01)、肝癌由来細胞株のHepG2、子宮頸癌由来細胞株のHeLa、横紋筋肉腫由来細胞株RD、臍帯静脈内皮細胞由来のHUVECのcDNAを用いて定量PCRでHKⅠ遺伝子の発現量を測定した。HKⅠ遺伝子発現量は、血球由来の細胞株で高く、特に赤芽球系細胞や巨核球系細胞に分化することが知られているK562細胞株で高発現していた。これらの結果から、ITPではHKⅠが高発現している血小板が破壊されたことで抗HKⅠ抗体が産生された可能性が考えられた。
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