2017 Fiscal Year Research-status Report
三次元画像計測を用いた心臓機械現象の非接触計測とその臨床応用
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16K08977
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
志賀 剛 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00277211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00625626)
青木 広宙 千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (60380193)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心臓 / 機械現象 / 非接触 / 計測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、医療機関で実用可能な非接触心拍システムの構築を目指し、まず、循環器病患者を対象に計測を行うことを踏まえ、東京女子医科大学病院で実用可能な非接触心拍計測システムの構築を行うことを目的とした。 本研究で提案するアクティブステレオ法を応用した非接触心臓拍動計測手法においては、Intel社製の三次元画像センサであるIntel RealSenseをセンサとして採用した。本手法では、赤外光によるアクティブステレオ法により被験者の胸腹部の三次元形状情報を取得する。そして、緑色レーザ光源を用いたドットマトリックス投影によるアクティブステレオ法を、Intel RealSenseのカラーカメラを用いて行うことで、心臓拍動にともなう胸腹部の微小形状変化を取得する。本年度は、遅れていたレーザの購入に目途がつき、測定システムの開発を行い、加えて、基礎的な検証実験として心電図計との同時計測による比較実験を行った。実験の結果、提案手法によって検出される波形と心電図波形とでは、ピークの出現タイミングが一致しており、提案手法により非接触での心臓拍動計測を実現できることを確認した。 また、臨床研究については、東京女子医科大学病院内において、心筋梗塞患者および心筋症患者を対象とした計測を行い、システムの有効性・妥当性について検証するために、前向き観察研究としてプロトコルの作成を行った。現在、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に対応した倫理委員会での申請を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、プロトタイプシステムの構築を完了し、ボランティアを計測対象とした予備実験まで進める予定であったが、部品の選定で遅れた。予定していた透過型回折格子の販売が終わってしまい、代替品を用意した。また、半導体レーザは中国の業者から購入をするが、納品が遅れている。ただ、非接触心拍計測方法の基本設計は完成しており、部品が調達出来次第、東京女子医科大学病院に設置可能である。また、フレームレート撮影による膨大な情報量の画像データに対する信号処理技術の適用が心臓拍動を高精度で検出するために不可欠であり、情報処理量が膨大となる。医療現場での実利用においては短時間での情報処理が必須である。現行においては、30秒分の計測データを処理するのに約6倍の180秒程度の処理時間を必要としている。信号処理アルゴリズムの改良やGPUコンピューティング技術を導入することで、処理速度の改善を目指す。以上の検討については既に開始しており、GPUコンピューティングの導入で全体の処理時間を半分以下に短縮できる目処がたっており、解析システムの構築は完成している。三次元画像センサとしては、以下の3機種の三次元画像センサを使用する。 a)Intel社製RealSense D415 b)Intel社製RealSense D435 c)pmdtechnologies社製Camboard pico flex aおよびbは、パターン光投影を用いたステレオ法による三次元画像センサである。cは、光の反射時間TOF法(Time Of Flight法)による三次元画像センサである。どちらも、対象に対してレーザー光を投影することで、三次元計測を行う。本研究で用いる計測システムは、三次元画像センサを用いて人体胸部の三次元形状を取得し、心臓拍動に伴う微小な形状変化を高感度で計測する技術よりなる。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎心疾患別における収縮・拡張様式の分析と心臓の機械現象のパターン分類を目的に臨床研究(前向き観察研究)を開始する。現在、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に対応した倫理委員会での申請を行っており、承認され次第、実施開始する。昨年度まで製造中止等で購入が遅れていた部品の購入が本年度に完了し、光学系(焦点合わせ、三次元計測精度、投影の安全性)と装置構成が整い、準備ができている解析システムと連動することが可能である。東京女子医科大学循環器内科では年間500例を越す心筋梗塞および心筋症患者が入院しており、適格基準に該当する100症例の実施は十分可能である。
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Causes of Carryover |
理由:プロタイプの部品として予定していた透過型回折格子の販売が終わってしまい、代替品を選定するのに時間がかかっていることと、同じく部品である半導体レーザの納品時期が遅れたため、代替手段の検討に取り組んだ。ここ数年の市販の三次元画像センサ(Depthセンサ)の発展に伴い、これらが本研究の用途に利用できる可能性があるため、平成29年度は各種Depthセンサの利用可能性について検討した。このように研究計画の変更に伴い、研究費使用額に変更が生じた。 使用計画:初年度に予定した消耗品(プロトタイプの部品である透過型回折格子と半導体レーザ)の購入に用いる。
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Research Products
(2 results)