2017 Fiscal Year Research-status Report
単一遺伝子疾患バリアントにおいて多型か変異かを区別する効率的手法確立
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16K08978
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中山 智祥 日本大学, 医学部, 教授 (00339334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00244541)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 単一遺伝子疾患 / 多型 / 変異 / バリアント / ハプロタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究でのターゲットになっている疾患は単一遺伝子疾患として申請者が今まで遺伝学的検査・解析してきた常染色体優性遺伝病である多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia: MEN)1型および2型、常染色体劣性遺伝病であるGitelman症候群、網膜色素線条症である。これら疾患について、末梢血サンプル収集が進んでいる。遠心分離機にて遠心後血漿を分離し、-70から-80℃のディープフリーザーに凍結保存している。また同検体のバフィーコートの白血球からフェノール・クロロホルム法にてゲノムDNAを抽出した。一部のDNAは濃度調整し、今後の解析にすぐに使用可能な状態にある。各検体からの回収量は充分にあり、また分光光度計を用いた吸光度測定においてDNA純度は良好である。 遺伝学的検査を実施する前後での遺伝カウンセリングを研究申請者自身が任務を担っているので、これらのサンプルについては遺伝カウンセリングの際に家族歴を正確に聴取することで、遺伝性が関与しているか否かを検証できるようにしている。上述した原因遺伝子の疾患原因に関わるバリアント(変異)については、随意解析しているが、それ以外の、遺伝子の機能に影響のないバリアント(多型)については、改めて塩基配列データを注意深く観察し全バリアントの確認をしている。その際、National Center for Biotechnology Information: NCBIのwebsiteに登録されているdbSNPなどバリアント情報と照らし合わせて照合する。また一般的な疾患の原因に関わる変異検出のための遺伝学的検査では通常解析しないイントロン領域やプロモーター領域について解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル収集に係る労力以外には、必要機器、ソフトウェアの最低限のものはすでに導入されている。プロテオミクス解析実施に用いるMALDI-TOF MSはすでに運用されており、蛋白質データベースなど必要機器、ソフトウェアを用いている。ゲノミクス解析について次世代シークエンサーは配備されている。特にターゲットリシークエンシングあるいはエクソーム解析実施および、特定領域における多検体解析に力を発揮できる。また、次世代シークエンサーで検出されたバリアントの存在について念のためダイレクトシークエンシング法を中心としてサンガー法によるキャピラリーシークエンサーを用い確認している。研究分担者間の連携は順調で、随時研究進捗状況についてお互いに報告し合っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も常染色体優性遺伝病である多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia: MEN)1型および2型、常染色体劣性遺伝病であるGitelman症候群、網膜色素線条症の患者さんからのDNAサンプルの収集を継続していき、血漿を-70から-80℃のディープフリーザーに凍結保存するとともに随時核酸抽出を進める。遺伝学的検査の前後では施設内のクライエントについては研究申請者自ら遺伝カウンセリングを実施し、クライエントのご理解を深めるよう努める。DNA濃度を測定し、解析に使用できるように一定濃度に調整しておく。 次世代シークエンサーによるターゲットリシークエンシングあるいはエクソーム解析、キャピラリーシークエンサーによるサンガー法によるダイレクトシークエンシングなどでの塩基配列決定、TaqMan(R) PCR法など遺伝型を確認し、対象者において一つの遺伝子全長の塩基配列決定を進める。また新たにハプロタイプを用いた関連解析を実施できる最新のソフトウェアを準備し、より細かな解析ができるように備えたい。研究分担者間の連携については引き続き、随時研究進捗状況についてお互いに報告し合い、研究をより円滑に進められるように努めたい。平成30年度は研究計画の最終年度であるため、バリアントが多型か変異かを区別できるような効率的手法が確立できるような成果がまとまるように努めたい。
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