2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーを活用した過剰マーカー染色体の発生メカニズムの解明
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16K08981
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大江 瑞恵 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (10247661)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 過剰マーカー染色体 / 染色体粉砕現象 / 染色体構造異常 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
小型の過剰染色体である過剰マーカー染色体は、比較的発生頻度が高い染色体異常である。病態の原因となる場合があり、その由来を知る事は臨床的に重要であるが、実際には、発生メカニズムはもとより、正確なゲノム領域やその構造もよく解らないままに診断されている。近年、がん細胞の染色体構造異常において、一つの染色体内の離れた複数箇所がばらばらに繋ぎ直された「染色体粉砕現象」が報告され注目されている。本研究では、生殖細胞で生じる過剰マーカー染色体は染色体粉砕現象を起点とし、複雑な構造を形成するという発生機序を仮定するとともに、様々な過剰マーカー染色体の発生機序の解析を行うことを計画した。発生機序の理解を深めることにより、詳細な解析が臨床検査に発展することを目指している。 本年度は、まず、これまでに収集した過剰マーカー染色体の構成ゲノム領域の同定をマイクロアレイ染色体検査により確定した。その結果、その中の一部のケースでは、1つの染色体上に複数の領域でコピー数の増加が検出された。そして、FISH法により、増加領域は過剰マーカー染色体に起因することを確認した。これらの結果から、過剰マーカー染色体は、セントロメア近傍だけを含む単純なものばかりではなく、一部は、複雑な機構を経ている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析した過剰マーカー染色体は、単純および複雑な構造を示唆させる様々なものがあり、中には染色体粉砕現象の可能性を想定させるケースが得られた。次世代シーケンス解析により、再編成結合部位の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新しく収集した過剰マーカー染色体の構成領域の確定を進めていく予定である。 再編成された各断片間の結合部の相同配列の有無、マイクロホモロージーの数や挿入配列などは、修復機構を推定するのに有益な情報となる。次世代シーケンス解析をマイクロアレイ染色体検査の結果と対比しながら、DNA塩基レベルの再編成結合部位の同定をおこなう予定である。ライブラリー調整時のアーティファクトによる誤検出や低頻度モザイクや配列に依存し、検出が困難になる可能性がある。過剰マーカー染色体の濃縮やサンガーシーケンスによる確認をより密に行うことにより検出を試みる。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーによる解析を行うケースが予定より少なかったため、物品費を翌年度に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに収集した過剰マーカー染色体をマイクロアレイ染色体検査により解析を行い、次世代シーケンサーを用いた再編成結合部位のDNA塩基レベルの同定を中心に進める予定である。
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