2017 Fiscal Year Research-status Report
M蛋白ユビキチン化に着目した多発性骨髄腫新規バイオマーカーの探索と臨床的有用性
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16K08983
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
炬口 真理子 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (10379430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 和英 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (10415317) [Withdrawn]
西郷 勝康 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (20304107)
谷口 泰造 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70346253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユビキチン-プロテアソーム系 / 多発性骨髄腫 / ユビキチン化酵素 / プロテアソーム阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内での蛋白質品質管理機構の1つにユビキチン-プロテアソーム系(UPS)がある。ユビキチンは、3種類の酵素E1、E2、E3を介して標的蛋白質に付加され、これを目印に蛋白質はプロテアソームで分解される。これら3酵素は蛋白質固有であり、疾患により疾患特有のE2、E3が変化する。現在、多発性骨髄腫(Multiple Myeloma :MM)の治療にプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(BTZ)が汎用されているが、その作用機序は明らかではなく、病勢を反映するバイオマーカーもない。我々はこれまで、急性前骨髄性白血病において、BTZ投与によりPML/RARAキメラ蛋白のE2が血清中に増加することを見出し、治療前、治療効果を反映するバイオマーカーとして有用であることを報告した(H25-27基盤C)。 本研究は、先行研究を基にMMにおけるバイオマーカーをM蛋白に着目して探索することを目的とした。BTZ 感受性MM細胞株と耐性株を用いて、BTZ投与により細胞死が誘導され、蛋白電気泳動法によりM蛋白量が減少することを確認した。しかし、M蛋白がユビキチン化され、プロテアソームで分解されることを確認することができなかった。そこで、M蛋白だけでなくBTZ 感受性細胞株と耐性株中の蛋白において、ユビキチン化蛋白の比較を行うことにした。一般社団法人化学物質評価研究機構に、ショットガン解析によるユビキチン化蛋白の比較解析を依頼した結果、感受性株と耐性株でユビキチン化に変化がみられる蛋白が31検出された。その中でNCBI、論文等からヒストンH4とTRIADを選択した。現在、この2種の蛋白について、ユビキチン化の変化及び特異的ユビキチン化酵素の検出に向けて実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
M蛋白がユビキチン化されプロテアソームで分解されることを想定して実験を進めてきたため、実験方法の模索、変更に時間を費やした。これらにより、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ユビキチン化蛋白の解析から、ヒストンH4とTRIAD蛋白が多発性骨髄腫(MM)の病態に関係する可能性があることが示唆された。これまで、HDAC阻害剤がMM に対するBTZの作用に影響を与えることや、triad遺伝子とヒストンH4のアセチル化との関連についての報告がある。今後は、ヒストンH4とTRIAD蛋白について、ユビキチン化、プロテアソームでの分解、血清中での検出方法等を検討することにより、バイオマーカーとしての可能性を追求する。
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Causes of Carryover |
(理由) 実験が遅れているため (使用計画) 多発性骨髄腫に特異的なユビキチン化蛋白の解析、検出方法を検討するための試薬及び物品の購入、学会での研究発表に使用する予定である。
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