2018 Fiscal Year Research-status Report
青斑核アストロサイトに着目した慢性痛病態の機序と治療法に関する研究
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16K08985
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
林田 健一郎 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (40769634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河谷 正仁 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (00177700)
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90433341)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 下行性抑制系 / 青斑核 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性痛が抱える問題は痛みだけでなく、注意、記憶、判断など前頭葉が関連する脳機能を障害することによっても患者の生活の質を低下させている。本研究は、痛みに対するブレーキシステムである内因性鎮痛と脳機能に重要な役割を持つ青斑核(LC)に着目し、慢性痛病態のさらなる理解と共に、その治療戦略の提案を目的とする。H30年度は以下の結果を得た。 1)発症6週以降の慢性神経障害性疼痛動物モデルにおいて、グルタミン酸(Neurosci Lett 2018; 676: 41-45)及びニコチン受容体刺激(J Pain Res 2018: 11: 2453-62)によってLCが興奮することを論文報告した。この結果は、慢性化した神経障害性疼痛状態においてもLC神経細胞は刺激への反応性を維持していることを示している。 2)社会的精神ストレスは術後痛からの回復を遅延させ、その影響は少なくとも4週間以上続くことを論文報告した(Neuroscience 2018:382:35-47)。この結果は、精神ストレスは慢性痛の原因になることを示している。 3)本研究の中で考案した新規疼痛関連行動解析装置Shuttle mazeの特許を取得し、現在論文投稿中である。本装置は、絶食条件なしで動物が好む餌(甘いシリアル)を行動の動機として、痛み刺激の存在する短路または刺激の存在しない長路のどちらかを通る、あるいは行動しないことを自由に選択させ、疼痛関連行動を客観的に測定できる。Shuttle mazeは、動物への精神的肉体的ストレスを軽減できることで動物実験倫理の面でも画期的な方法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は概ね予定通りに推移したが、故障した電気生理実験用の新たな機器納入が遅れたため、予定した期間内に実験を終了できず延長申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は予定していた電気生理実験を終了し、これまでの結果と合わせ学会及び論文報告を行う。また、本研究の中で考案し、特許を取得した新規疼痛関連行動解析装置についての学会及び論文報告を行う。
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Causes of Carryover |
青斑核神経活動記録するための電気生理実験機器が壊れたため、新たな機器を注文したが、受注生産のために納入に時間がかかり、本年度中に予定していた実験が終了できなかったため。
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