2016 Fiscal Year Research-status Report
機能性身体症候群にみられる病的疼痛と疲労の発症メカニズムの解析
Project/Area Number |
16K08988
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
安井 正佐也 愛知医科大学, 医学部, 助教 (10723695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 裕介 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50506673)
大道 美香 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30581079)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストレス / 固有感覚ニューロン / 筋活動量 / 筋電図 / ATF3 |
Outline of Annual Research Achievements |
複合的持続ストレスを負荷するCFSモデルにおいて,一部のDRGニューロンにATF3(神経過活動・障害マーカー)が発現する.本研究において,ATF3の発現は,L5のDRGに最も多いことが明らかとなった.また,ATF3を発現したDRGニューロンの約6割がTrkC(固有感覚ニューロンマーカー)免疫反応陽性を示した.さらに,ストレス負荷後に十分な安静期間を与えると,DRGのATF3は消失した.このことから,固有感覚ニューロンの過活動がATF3発現を誘導した可能性が示唆された.疼痛モデル動物の代表とされる神経因性疼痛モデルや炎症性疼痛モデルにおいて,侵害受容ニューロンや触圧覚ニューロンが疼痛の増悪に関与するとの報告はあるが,固有感覚ニューロンが関与する報告はない.複合的持続ストレスにより誘発される疼痛は,他の疼痛モデルとは疼痛誘発に関与するニューロンが異なる点において重要な知見であると考えられた. 逆行性神経トレーサーであるFluoro-Goldを後肢の各筋(ひらめ筋,腓腹筋,前脛骨筋)に投与し,CFSモデルを作製した.その結果,Fluoro-Gold陽性ニューロンにATF3を最も多く発現した筋は,ヒラメ筋であった.そこで,抗重力筋であるヒラメ筋の筋電図を,テレメートリーシステムを用いて複合的持続ストレス負荷前からストレス期間中を測定した.その結果,ストレス負荷前に比べてストレス期間中は,昼夜問わず筋活動量の持続的な亢進を認めた.ヒラメ筋の筋活動を抑制する目的で,片側足関節に髄内釘固定術を施して,CFSモデルを作製した.その結果,固定側の脊髄後角ミクログリア活性化が抑制された.また,DRGにおけるATF3発現も,固定側が有意に抑制された.このことから,ストレスによって生じた抗重力筋の異常な活動が,固有感覚ニューロンの持続的な過剰興奮を惹起し,ATF3発現を誘導した可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固有感覚ニューロンの過活動抑制を目的とする,足関節髄内釘固定術実験において,固定側DRGのATF3発現量が抑制された結果を得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,自律神経機能検査を中心に実験をすすめ,交感神経系の関与について解析を進める.
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