2017 Fiscal Year Research-status Report
末梢感作-中枢感作連関を軸とした神経障害性疼痛の新規病態分子基盤
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16K08994
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90433341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
雑賀 史浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10644099)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロファージ / 神経炎症 / アロディニア / サイトカイン / ケモカイン / 脊髄 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は坐骨神経部分結紮による神経障害性疼痛モデルマウスを用い、主に後根神経節において神経炎症依存的に発現変動する因子に着目した検討を行った。本年度は、傷害坐骨神経に集積するマクロファージが担う末梢性感作と中枢性感作の機能的連関を詳細に検討した。炎症性マクロファージ抑制薬であるニコチン性アセチルコリン受容体α4β2サブタイプ特異的リガンドを傷害末梢神経に局所投与すると、神経障害性疼痛が改善した。また神経傷害後の脊髄におけるミクログリアの形態的活性化ならびに炎症関連因子(IL-1β、CCL3、CD68、IRF5など)の遺伝子発現増加は、マクロファージ抑制薬の末梢局所投与により減少することを見出した。これらのマクロファージ抑制薬は神経傷害の3週間後から投与しても有効であり、その際に脊髄ミクログリア関連因子の減少効果も同時に認められた。すなわち、神経障害性疼痛の形成および維持機構のいずれにおいても炎症性マクロファージによる末梢性感作が重要な役割を果たすことが示唆される。さらに、糖尿病性や抗がん薬誘発性などの異なる神経障害性疼痛モデルにおいても、同様の機序の関与を示唆するデータが得られている。昨年度までの結果を踏まえると、炎症性マクロファージ由来のサイトカインやケモカインが後根神経節における中枢感作調節因子(サイトカインおよび神経ペプチドなど)の発現を亢進させ、脊髄グリア細胞の活性化を調節することを明らかにできたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の結果をさらに発展させ、炎症性マクロファージが脊髄ミクログリアの活性化ならびに神経障害性疼痛の形成・維持に重要であることを明らかにし、論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
後根神経節における基盤分子の機能解析ならびにそれらが脊髄・脳に及ぼす影響を総合的に検討する。また異なる神経障害性疼痛モデルを用いた解析も進めていく計画である。
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Causes of Carryover |
一部の実験動物費を使用しなかったために繰り越しとなったが、次年度新たに交付される金額にと合わせて主に実験動物費、消耗品費、旅費として当初の計画に沿って使用できる。
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Research Products
(5 results)