2017 Fiscal Year Research-status Report
新しい半導体検出器を用いた大視野汎用型SPECTの開発に向けた基礎研究
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16K09008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長野 宣道 東北大学, 工学研究科, 助教 (60757673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 誠治 純真学園大学, 放射線技術科学科, 教授 (00617350)
人見 啓太朗 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核医学 / SPECT / 半導体検出器 / 臭化タリウム検出器 / マルチピクセル検出器 / 高エネルギー分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本では核医学の単光子放射コンピュータ断層撮影(Single photon emission computed tomography;SPECT)に、空間分解能やエネルギー分解能の良い半導体を用いた装置が登場した。しかしこの装置に使用されている半導体は現時点ではテルル化亜鉛カドミウム(Cadmium Zinc Telluride;CdZnTe)の一種類しかなく、検出器も小面積で非常に高価なものとなっている。そのため、装置自体も高額なものとなり心臓専用の機種にとどまっている。本研究ではこのCdZnTe検出器に変わる新しい半導体検出器として、安価で高感度・高分解能な検出器を製作することが可能な臭化タリウム(TlBr)を用いて、心臓以外の部位の検査にも応用できる大視野汎用型SPECT装置の検出器の開発を目指している。 平成29年度の研究では、本研究の最終的な到達目標である「検出器の受光部面積が1cm×1cmの検出器の製作」が実現可能な大型結晶の育成方法について検討を重ねた。検討の結果、電気炉を水平方向に走査し結晶を純化していく帯域精製法から、さらに垂直方向に走査することにより結晶を育成するブリッジマン法を追加することにより大型結晶の製作を行った。この大型結晶から製作した検出器のエネルギー分解能を、核医学で使用されているガンマ線のエネルギーに近い57Co(122 keV)標準線源を用いて評価した結果、良好なエネルギー分解能を得ることができ、受光部面積1cm×1cmの大型検出器の開発に好結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目、2年目で得られた知見を基に検出器面積を100平方ミリメートルまで拡大したピクセル型検出器を製作する。密封標準線源を用いて製作した検出器の評価を行う。実際に臨床で使用されている核種のエネルギーに近いコバルト57(57Co:122keV)線源を用いる。5%以下のエネルギー分解能の実現を目指す予定である。また、コバルト57線源の撮像実験を行い、検出器の特性評価をしていく予定である。
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