2017 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣の欧米化によるインクレチン・グルカゴン分泌の変化
Project/Area Number |
16K09035
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
米田 真康 広島大学, 病院(医), 講師 (30508130)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生活習慣 / グルカゴン / インクレチン / インスリン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、40~75才のロサンゼルス在住日系米人156名(男性80名、女性76名)と広島在住日本人40名(男性33名、女性7名)の75gブドウ糖負荷試験(OGTT)における0分、60分、120分の血漿グルカゴンおよびインクレチン(GLP-1、GIP)濃度を測定し、統計学的に比較解析した。今回サンプルを収集した広島在住日本人には耐糖能異常者の割合が多く、生活習慣の異なる日本人集団として、日系米人の比較対照となる日本人としては不適切な集団であった。 そこで、ロサンゼルス在住日系米人138名(男性75名、女性63名)において、耐糖能別に血漿グルカゴンおよびインクレチン濃度のOGTTによる変動パターンを解析した。耐糖能別に分類すると正常型(NGT)119名、境界型(IGT)12名、糖尿病型(DM)7名であった。血漿グルカゴン値は、負荷前、負荷後60分、負荷後120分のすべてにおいて、NGT群よりIGT群が、さらにIGT群よりDM群が高値を示した。一方、インクレチンについては、active GLP-1値、active GIP値ともに、NGT、IGT、DMの3群で有意な違いを認めなかった。続いて、NGT群のなかで、BMIにより22未満、22以上25未満、25以上の3群に分けると、負荷前の血漿グルカゴン値はBMIが大きい群になるほど高値を示したが、血漿インクレチン濃度には特徴的な変化を認めなかった。 日系米人における耐糖能別、肥満度別における血漿グルカゴン濃度の解析結果から、糖尿病を発症する前段階のIGT、そしてNGTであっても肥満を有すれば、空腹時グルカゴン値が高値であることが判明した。このことは、空腹時グルカゴン値が糖尿病の発症を予知するマーカーとして利用できる可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロサンゼルス在住日系米人156名と広島在住日本人40名のサンプルの収集、データの解析は終了し、現在、日系米人138名のデータを論文作成中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
日系米人138名のデータを論文発表する予定である。 遺伝素因が同一でありながら生活習慣の異なる日本人集団同士を比較解析するために、日系米人の比較対照として今回収集した日本人40名のサンプルは不適切であった。 従って、広島県の生活習慣病予防健診などのうち、対象者に対して無作為にOGTTを実施している健診において、新たに日本人サンプルの収集を実施することが必要である。これは今後の(次の)研究の検討課題と考える。
|