2018 Fiscal Year Research-status Report
尿中女性ホルモンおよびイソフラボン濃度とエストロゲン依存性婦人科疾患の関係
Project/Area Number |
16K09049
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
井手野 由季 群馬大学, 数理データ科学教育研究センター, 助教 (60616324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 邦彦 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80282408)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 女性ホルモン / 尿中エストロゲン濃度 / 尿中イソフラボン濃度」 / 生活習慣 / BMI |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、「尿中のイソフラボン濃度とエストロゲン濃度の関連」、「サプリメントの使用状況」、「12年間のBMIの推移」を調べた。なお、エクオール産生/非産生の推定cut off値に関して、論文として発表した。 ・尿中のイソフラボン濃度とエストロゲン濃度の関連:イソフラボンは、エストロゲンと似た化学的な構造を持ち、エストロゲン様作用を有し、女性の健康に有益だといわれている。しかし大豆食品の摂取量と尿中エストロゲン濃度の間の関連は、閉経前後で異なるとされてきた。そこで、JNHS「尿中イソフラボン濃度測定調査」の参加女性498名を対象に、尿中のイソフラボン濃度とエストロゲン濃度(E1、E2)の関連を調べた。先行研究が報告するように、これらの関連は閉経前後で異なり、閉経後女性ではイソフラボン濃度が高いほどエストロゲン濃度も高かったのに対して、閉経前女性ではイソフラボン濃度とエストロゲン濃度の間に有意な関連はみられなかった。 ・サプリメントの使用状況:セルフメディケーションとしてのサプリメントの使用状況について、JNHS参加者11,665名を対象に調査したところ、サプリメント使用者は34.4%であった。妊娠中や高齢の対象者、あるいはやせている対象者(< 18.5 kg/m2)において有意に使用者が多いことが示された。 ・12年間のBMIの推移:成人女性の肥満は、ホルモン分泌の変化の影響を受けるため、健康事象との関連を調べるには、長期的に体型の変化を調査する必要がある。そのため、SASのTraj Procedureを用いて、JNHS参加者における12年間のBMI推移のクラスターを同定した。BMIの推移は、4群に分類されることが示された:a継続して非肥満(80.5%)、b非肥満から肥満へ移行(6.3%)、c肥満から非肥満へ移行(3.0%)、d継続して肥満(10.2%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる課題である「尿中の女性ホルモン濃度およびイソフラボン濃度と乳がん/子宮内膜症/子宮筋腫発生の関係」におけるエンドポイントであるエストロゲン依存性婦人科疾患(乳がん・子宮内膜症・子宮筋腫)ついて、新規発生を同定するための作業を継続しており、同定作業の妥当性についても検討している。また、婦人科医の協力を得て、登録後10年間のデータを対象に、尿中の女性ホルモン濃度に影響を与える女性ホルモンを含んだ薬剤の使用状況およびエストロゲン依存性婦人科疾患の発生に関連があるとされる使用期間や使用薬剤の形態などについて調査を開始した。 その他、女性のライフコースという観点より無視することができない、閉経状態や、子宮および卵巣の摘出術既往に関するデータのクリーニングを実施した。また、サプリメントの利用を含む食生活や身体活動などの生活習慣に関するデータのクリーニングも開始した。 以上より、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
JNHSデータより、乳がん、子宮内膜症、子宮筋腫の既往および新規発生の同定のための調査を継続する。また、これらの疾患を有する対象者における、尿中イソフラボン濃度および尿中女性ホルモン濃度や生活習慣との関連を検討すべく、データのクリーニングも継続する。エストロゲン依存性婦人科疾患の発生に関連があるとされる女性ホルモン剤の使用期間や使用薬剤の形態などの調査も継続し、研究課題達成の準備を行う。 可能であれば、予備解析も実施する。
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Research Products
(8 results)