2016 Fiscal Year Research-status Report
異なる年齢集団におけるインフルエンザ対策の有効性の差を明らかにする縦断的疫学研究
Project/Area Number |
16K09052
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内田 満夫 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (00377251)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 小学校 / 中学校 / 疫学 / 前向き調査 / 横断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地域における小中学校の児童生徒の季節性インフルエンザの発症状況を,質問紙を用いて前向き及び横断的に調査し,小学生と中学生における流行の特徴や感染予防策,また治療効果の相違について評価することである。平成28年度は研究者の居住する松本市に隣接する安曇野市において,公立小中学校17校をすべてを対象として,質問紙によりインフルエンザ発症状況に関する疫学調査を実施した。まず平成28年の4月から6月にかけて安曇野市教育委員会,安曇野市医師会,松本保健所に調査の趣旨を説明して調査の実施の承認を得た。続いて7月にはすべての小中学校に連絡をして養護教諭に対する説明の機会を持ち,全ての学校を訪問して調査の協力依頼と了承を得た。 平成28年10月には前向き調査の質問用紙を全ての学校に訪問して配布した。このシーズンの季節性インフルエンザの発症報告があった場合,治癒報告書と合わせて配布してもらうよう養護教諭に依頼した。10月以降,インフルエンザの報告があった際は養護教諭から保護者に質問紙を配布して頂き,その結果合計1,579名より返答された。これは全対象の約20%に相当し,例年の季節性インフルエンザの発症割合とほぼ同様であった。またインフルエンザの発症の有無に関わらずこのシーズンの対策状況などを知るため,2月中旬に全ての学校に調査用紙を配布した。2月末から3月にかけて全ての児童生徒約8,000名を対象として横断調査を実施した結果6,543名より回答があり,8割を超える対象から回答を得ることができた。 以上,平成28年度は季節性インフルエンザ調査の事前準備とデータ収集を計画通りに実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,この年度の季節性インフルエンザの発症状況を安曇野市の小中学校で収集する予定であった。現在,前向き調査データ,横断調査データを収集することが完了しているため,研究は予定通りに進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,研究計画の通りデータの集計と解析を実施する。まず学校組織で蓄積している発症者数データと照合し,前向き調査で得られた情報が実数のどれだけをカバーできているか評価する。続いて前向き調査のデータを用いて,学校別および地域全体の流行曲線を描き感染症の流行状態を評価する。評価方法は,当初の予定通り①記述疫学的評価,②数理モデル的評価,③GISを用いた地理的評価を行う。 この結果は,調査に協力いただいた学校組織に返却して,今後の対策構築のために情報提供する。またこれらの評価結果を元に,迅速に学会発表や論文作成に取り組み,社会に情報発信する予定である。
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Causes of Carryover |
予定よりも早めの論文作成と出版を見越して前倒し請求を行ったが,年度内の利用に至らなかったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,平成29年度請求額と合わせて,計画通りにデータ入力,学会発表,論文作成と出版費用に使用する。
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