2016 Fiscal Year Research-status Report
食事の栄養素コスト評価とポジティブデビエンスアプローチ
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16K09053
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 美詠子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (30236012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長幡 友実 東海学園大学, 健康栄養学部, 准教授 (40512512)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会経済的要因 / 食事 / エネルギーコスト / 栄養素コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本人の食事の社会経済的側面を評価する一指標として、エネルギーコスト(単位エネルギー当たりのコスト)を拡張した栄養素コスト(単位栄養素当たりのコスト)を評価するシステムを作成することを目指している。平成28年度はまず栄養素コストデータベースの作成に取り組んだ。(1)コストデータの収集:農林水産省、総務省等による各種公表データを検討し、データベースの基盤となるデータとして、総務省統計局小売物価統計調査(動向編)のうち「主要品目の都市別小売価格」(月次)及び「調査品目の月別価格及び年平均価格」(年次)を選定し、主要食品の価格データを抽出した。また既存の食物摂取頻度調査票(food frequency questionnaire:FFQ)解析システムとの食品互換性を検討し、不足する食品については出回り時期を考慮し、2016年5月~2017年3月にかけて店頭調査を実施した。(2)コストデータの整備:重量当たり価格で示されていない食品(例:鶏卵1パック等)及びFFQ解析システムと形態が異なる食品(例:ゆでそうめん等)について、既存資料を用いて、同形態の食品重量当たりデータに変換した。(3)各食品について季節及び地域による価格変動について検討した。季節変動については予測通り果物類、魚介類、野菜類で大きかった。一方地域については都市規模が大きい程高いという予測に反して、一定の傾向は示さず、食品毎に異なった傾向を示すことが明らかにされた。本年度整備したデータベースと知見に基づき、次年度は食品、料理単位のコストデータを完成させ、既存FFQをベースとした栄養素コスト評価システムを作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画になかった検討(季節変動、地域変動)を追加した一方、食品成分表とのリンケージは次年度実施等の変更はあったものの、全体としておおむね順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度に整備したデータベースと知見に基づき、栄養素コスト評価システムを完成させる。(1)重量当たり食品価格データと日本食品標準成分表2015年版の重量当たりエネルギー・栄養素データを重量でリンケージし、エネルギーコスト、栄養素コスト(価格/単位エネルギー・栄養素)データベースを完成させる。(2)料理ベースのFFQの料理リストに基づき、料理単位のコストデータベースを作成する。(3)Excelのマクロ機能を使用して、食品、料理単位のエネルギー・栄養素コストデータベースを組み込み、既存FFQを発展させた栄養素評価システムを作成し、実データを用いて検証する。また、既存FFQデータを用いて、栄養と関連する社会経済的要因、健康状態について検討する。 平成30年度は栄養素コスト評価システムにより食事のエネルギー・栄養素コストと、生活習慣、社会経済状況、主観的健康感等との関連を検討する。また、ポジティブデビアントを探索する。
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Causes of Carryover |
一部計画(食品成分表とのリンケージ作業)が次年度になったこと、主に長幡が担当予定であった実地調査(店頭調査)をインターネット調査(インターネットスーパーの価格調査)及び既存データの分析(季節変動、地域変動)で代替できたこと、学会・論文公表に至らなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
食品成分表とのリンケージを含めたプログラミング作業を委託し、すすめていく。季節変動、地域変動については、当初計画時以上のデータが既に入手できたため、平成28年度に整理したデータと分析結果を基に、当初計画をさらに深めた検討をすすめていく。また学会・論文公表をすすめていく。
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