2018 Fiscal Year Research-status Report
食事の栄養素コスト評価とポジティブデビエンスアプローチ
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16K09053
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 美詠子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (30236012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長幡 友実 東海学園大学, 健康栄養学部, 准教授 (40512512)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会経済的要因 / 食事 / エネルギーコスト / 栄養素コスト / ポジティブデビアント / フードインセキュリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、平成28~29年度に構築した栄養素コスト評価システムで得られたコストデータと既存データをリンケージして、食事コストに関する検討を行った。食事のエネルギーコスト(エネルギー摂取量1000kcal当たりの価格)は女性、高年齢で有意に高く(性、年齢階級の交互作用なし)、教育歴と有意な正の関連を示したが、持ち家や自家用車所有との関連は見られなかった。エネルギーコストと食品摂取量は、穀類では負の、その他多くの食品(野菜類、果物類、いも類、豆類、種実類、きのこ類、魚介類、肉類、卵類、菓子類、嗜好飲料)では正の関連を示した。一方、乳類もエネルギーコストと関連する傾向を示したが、統計学的有意には至らなかった。また、多くの栄養素摂取量はエネルギーコストと高い正の相関を示し、エネルギーコスト評価で栄養素のコスト評価を代表できる可能性が推定された。 エネルギーコストを用いたポジティブデビアント(少ないコストにも関わらず十分な栄養素を摂取できている者)の探索として、低コスト(エネルギーコストが中央値未満)にも関わらず、蛋白質、カルシウム、鉄、ビタミンCが中央値以上摂取できている者について検討したところ、これらの者の食品摂取の特徴として、穀類、豆類、卵類、乳類の摂取量が多く、嗜好飲料の摂取量が少ないことが明らかになった。これらの食品を適切に摂取していくことにより、低い社会経済的背景と関連する低栄養やフードインセキュリティを予防し、社会経済的背景と関連する健康格差の低減につながる可能性があり、今後実践応用への展開が必要である。 そのほか、既存データを用いた食事と社会経済的要因との関連について、労働要因(シフト労働と夕食の不規則性)と栄養素摂取状況との関連を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度にはコストデータと既存データのリンケージ・データを用いて、概ね当初の計画にそった分析をすすめ、一部内容については学会発表、論文発表により公表した。しかし、一部の研究成果については公表に至らなかったため、次年度は過年度に得られた研究成果に新たな分析を加えて、公表をすすめていく。その他、既存データを用いた分析・公表についても平行してすすめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度分析をすすめたポジティブデビアントの探索および既存データを用いた栄養素、食品摂取状況と社会経済的要因、健康との関連について分析、公表をすすめる。
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Causes of Carryover |
平成30年度までに行った研究成果の一部について年度内の公表に至らなかった。平成31年度は過年度に行った研究成果を中心に、関連する分析を補足して、成果公表(学会発表、論文発表とこれに伴う旅費、英文校正費、論文投稿料・掲載費などの支出)をすすめていく。
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