2017 Fiscal Year Research-status Report
大腿部CTによる筋肉内異所性脂肪および筋肉量、運動機能と潜在性動脈硬化との関連
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16K09055
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
門脇 紗也佳 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (60510344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤吉 朗 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (10567077)
三浦 克之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90257452)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 潜在性動脈硬化 / 異所性脂肪 / 大腿筋肉面積 / フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化性疾患(脳卒中・心筋梗塞など)には、喫煙、高血圧、糖尿病などの危険因子がある。高齢化が進展する中、既知の危険因子に加えて、予防可能な新たな危険因子の探索が必要である。そこで、(1)潜在性動脈硬化と異所性脂肪(皮下脂肪や内臓脂肪以外の脂肪)との関連を明らかにすること、(2)フレイル(高齢者の筋力や活動性が低下している状態(虚弱、Frailty))の有病率や、フレイルと大腿中央部の筋横断面積との関連、潜在性動脈硬化との関連を明らかにすることを目的として本研究を行っている。 本研究では他の研究費によって平成27~29年に施行される潜在的動脈硬化のフィールド調査(基研究)に(A)大腿中央部のCT撮影及び(B)運動機能検査の実施・フレイルに関する問診を追加する。また、得られた大腿中央部のCT画像より大腿筋群の横断面積・筋肉内や筋肉間の脂肪面積(異所性脂肪)の計測を行う。これらの結果とフィールド調査で得られる潜在性動脈硬化のデータ(冠動脈石灰化・頚動脈の内膜中膜複合体厚)・内臓脂肪面積のデータより、上記の(1)と(2)の解析を行う。 平成29年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (A)大腿中央部のCT撮影…上記基研究の進捗に伴い、予定通り、CT撮影が年度内に終了した。2か年に渡って得られた大腿中央部のCT画像を用いて、大腿筋群の横断面積や筋肉内・筋肉間の脂肪面積(異所性脂肪)の計測を開始した。上記の基研究のフィールド調査終了以降、大腿筋群の面積や筋肉内・筋肉間脂肪計測プロトコールを作成し、それに従い計測作業を開始した。現在、全体の約3割の計測が終了した。 (B)運動機能検査の実施・フレイルに関する問診…上記基研究の進捗に伴い、フィールド調査参加者に運動機能検査を実施し、フレイルに関する問診を行い、全ての調査を終了した。最終年度には、調査結果の総括および成果公表を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、他の科研費によって行われている潜在的動脈硬化のフィールド調査(60~85歳の女性のランダムサンプル400人を対象に、平成27~29年にかけて潜在性動脈硬化およびその関連要因に関する詳細な疫学研究(SESSA-Women研究))を基研究としている。 (A)大腿中央部のCT撮影…当初の研究計画通り、平成28~29年度の2か年で、CT検査を終了し、画像データを得た。また、大腿筋群横断面積や筋肉内脂肪・筋肉間脂肪面積の計測については、昨年度末の段階で計画を一部変更し、計測精度の確保のために、基研究の調査が終了した時点で短期間に集中的に行うことにしていた。現在、変更後の計画に沿って、順調に計測作業が進行中である。 (B)運動機能検査の実施・フレイルに関する問診…当初の研究計画通りに進捗している。平成29年度まで、2年間かけてフィールド調査の参加者に運動機能検査・フレイルに関する問診を実施し、データを蓄積し、電子データベース化を行うことで、データ収集作業を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度であり、これまでに収集した画像やデータを元にデータベースを作成し、総括する。また、計測精度向上のために必要なソフトウエアや機器類の整備などを行う。更に、中間解析の成果公表や情報収集などを行う。 (A)大腿中央部のCT撮影に関しては、大腿筋群横断面積や筋肉内脂肪・筋肉間脂肪面積の計測作業を継続し、計測や計測作業を迅速に進めるためのソフトウエアや電子機器を購入する。また、作業に伴う人件費・謝金を支出する。その後得られたデータ解析とその成果発表を行う予定である。 (B)運動機能検査の実施・フレイルに関する問診に関しては、フレイルと潜在性動脈硬化との関連について解析を行い、成果発表を行う。 また、CT画像の更なる活用を検討する。基研究の調査対象者を拡大した基盤研究(A)(一般日本人女性における潜在性動脈硬化と脳萎縮の実態解明:第2期調査、研究課題/領域番号:18H04074)の平成30年度からの交付が新たに決定している。今後、調査対象者を増やしてフィールド調査を続行するにあたり、本申請課題を更に発展させるため、本申請課題の最終年度である平成30年度に、これまでのCT画像解析の総括と並行して、得られた画像を更に発展的に活用し、潜在性動脈硬化の危険因子を探索的に明らかにするための準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由…当初の研究計画では、平成28年度に筋群横断面積や筋肉内脂肪・筋肉間脂肪面積の計測のための環境を整備(ソフトウエアや計測作業を迅速に進めるための電子機器の購入)し、平成28~29年度にかけて計測作業を行い、それに伴う人件費・謝金を順次支出する予定であった。 しかし、計測作業に関しては、CT画像収集の都度計測する方針を変更し、全てのCT画像収集後にランダム化して短期間に集中的に計測することとした。そのため、基研究の終了する平成29年度よりまとめて大腿筋群横断面積や筋肉内脂肪・筋肉間脂肪面積の計測を行うこととした。その計画に基づき現在計測作業を進行中であり、それに伴う環境整備も進めている最中である。そのため、平成29年度に拠出する予定であった環境整備の費用および人件費の一部を次年度に持ち越すこととした。 次年度使用計画…平成30年度は、最終年度であり、これまでに収集した画像データの解析および総括を行う。また、今後、この申請課題を発展させるためのCT画像の発展的利用や計測精度向上のために必要なソフトウエアや機器類の購入を行う。これらの作業に伴う人件費・謝金を支出する。更に、最終年度にあたり、成果発表および今後の研究発展のための情報収集のための活動を行う。
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