2018 Fiscal Year Research-status Report
悉皆調査による脳卒中登録整備と東日本大震災後の中長期的脳卒中罹患状況に関する研究
| Project/Area Number |
16K09067
|
|---|
| Research Institution | Iwate Medical University |
|---|
Principal Investigator |
大間々 真一 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20453300)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 脳卒中 / 疾患登録 / 津波 / 地震 / 罹患率 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
悉皆調査による脳卒中登録整備をするために平成30年度は次に挙げる項目の研究活動を行った。
（１）岩手県内医療機関の悉皆調査：岩手県全域の調査対象医療機関では調査員またはリサーチナースが調査対象医療機関を訪問し、岩手県地域脳卒中登録のデータベースと調査対象医療機関の保存されているカルテを照合し、未登録分の登録対象者について脳卒中登録票を作成した。登録票は調査対象医療機関より脳卒中登録運営委員会に送付され、データベースに登録された。
（２）岩手県外医療機関の悉皆調査：岩手県に隣接する青森県八戸市、宮城県気仙沼市、宮城県登米市、宮城県栗原市、秋田県横手市、および秋田県鹿角市の地域中核病院である調査対象医療機関と本研究者が所属する岩手医科大学との間で岩手県脳卒中発症登録に関する調査の覚書を交わした後に、調査員が訪問して登録対象者のカルテを閲覧し登録票を作成し、脳卒中登録運営委員会に登録票を送付して、データベースに登録された。
（３）岩手県の事業として死亡小票の目的外利用許可が継続して得られ、死亡小票データと脳卒中登録データとの照合を行い、脳卒中登録データベースに死亡小票の追加登録を行った。この作業は岩手県医師会の登録室専従の職員が行った。
（４）研究成果：岩手県地域脳卒中登録のデータベースの利用許可を得てこれを解析し、東日本大震災後の中長期的脳卒中罹患状況についての研究成果を、第46回日本救急医学会総会学術集会（平成30年11月21日、横浜）で口演発表を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度の研究活動のうち、以下は当初の計画通りほぼ順調に進んでいる。
（１）岩手県全域、および、岩手県に隣接する他県の地域中核医療機関において、岩手県在住者の脳卒中罹患状況を悉皆調査し、岩手県地域脳卒中登録に登録する体制を確立し、平成30年度もその調査体制を維持した。
（２）岩手県の事業として、岩手県地域脳卒中登録に脳卒中罹患後の死亡情報を統合するために死亡小票の目的外利用許可が継続して得られ、その情報を岩手県地域脳卒中登録のデータベースと照合し、脳卒中罹患者の死亡情報のデータベース格納が引き続き行われた。
平成30年度の研究活動のうち、以下は当初の計画より遅れいている。
（３）東日本大震災後の中長期的脳卒中罹患状況について、研究成果の学会での口演発表は予定通り行った。しかし、研究成果の論文原稿を作成し複数の英文誌に投稿を行ったが、現時点で論文掲載が確定していない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成30年度で達成できなかった下記について、平成31（令和1）年度は達成をめざす。
（１）東日本大震災後の中長期的脳卒中罹患状況についての研究成果を英文誌で公表することをめざし論文原稿の修正と再投稿を行う。
平成31（令和1）年度に本研究を発展させるため下記の実施を計画する。
（２）平成30年度末までに先行研究と本研究により岩手県では2008年1月1日より2016年12月31日まで9年間の脳卒中罹患者について、岩手県全域と、岩手県に隣接する他県の隣接地域で岩手県脳卒中発症登録の悉皆調査が完了したが、本年度はこの悉皆調査体制を継続維持し、2017年12月31日までの脳卒中罹患者について悉皆調査を行う。これにより人口約120万人である岩手県において10年間の悉皆調査による脳卒中登録データベースが完成する。このデータベースを解析し、10年間の年齢調整罹患率の推移や罹患状況の経時的変化について明らかにし、学会発表および論文発表を行う。
|
| Causes of Carryover |
（人件費、および、旅費について次年度使用が生じた理由）本研究により実施してきた脳卒中発症登録の悉皆調査が、平成30年度より、コホート研究である東北いわてメディカルメガバンク事業の一部となり、これまで悉皆調査を行っていたリサーチナースが東北いわてメディカルメガバンクに雇用され、その人件費がメガバンクより支給されるようになった。そのため、本研究より平成30年度の人件費支出が不要となった。また、調査員による旅費の一部が東北いわてメディカルメガバンクより支出される、旅費の支出が減額となった。
（その他について次年度使用が生じた理由）研究成果の論文掲載が確定しておらず、論文掲載費が未使用となっている。
（今年度の使用計画）東日本大震災後の中長期的脳卒中罹患状況についての論文掲載に関する費用として使用する。また、今年度の達成をめざしている、悉皆調査による10年間の岩手県脳卒中罹患状況にの悉皆調査、データ解析、成果発表に関して、調査員による悉皆調査費用、研究成果の学会発表、および、論文掲載に関する費用として使用すし、また、解析に使用してきたPCのオペレーティングシステムWindows7のサポート終了によりWindows10に更新するため、新オペレーティングシステムに対応していないデータ解析ソフトの購入費用として使用する。
|
