2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子情報を用いた新規経口抗凝固薬の出血性副作用予測マーカーの同定
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16K09070
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
市川 弥生子 杏林大学, 医学部, 准教授 (90341081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 照之 杏林大学, 医学部, 教授 (50346996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ファーマコゲノミクス / 経口抗凝固薬 / 一塩基多型 / 脳梗塞 / 脳塞栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.直接経口抗凝固薬内服患者(DOAC)の臨床データベースの構築 緊急入院患者に対応できるよう、登録患者の通常の採血と同時にDNA抽出用の血液検体を提出可能な体制を整備し、DNA抽出までスムーズに運用できるシステムを確立した。そして、当院脳卒中センターの入院患者データベースを基盤として、本研究の登録患者用の臨床データベースを構築した。登録項目として、入院時に脳卒中発症リスクのスコア:CHADS2、CHA2DS2-VASc、抗凝固療法における出血リスクスコア:HAS-BLEDを登録するとともに、経時的に凝固機能・肝機能・腎機能を含めた血液検査結果の登録を行っている。これまで、12例の登録がある。登録症例は75±10歳。男性7名、女性5名である。入院の契機となった病態は心原性脳塞栓症が8名を占め、8例全例で入院時に心房細動もしくは発作性心房細動の所見を認めた。心原性脳塞栓症以外で、DOACを導入した症例は、脳梗塞で入院後、超音波検査にて下肢深部静脈血栓症が明らかとなった症例3例、心房細動でワルファリンを内服していたところ小脳出血を呈して入院となった症例1例であった。心原性脳塞栓症の症例については、入院後ヘパリンを用いて抗凝固療法を行い、DOAC内服開始と同時にヘパリンを中止としているが、DOAC導入後1週間以内に新たな出血事象や脳梗塞の再発は生じず経過した。
2.遺伝子多型の解析 解析対象としている5箇所の一塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)について解析方法を確立した。DOACのうちのダビガトランにおいて、血中濃度に関与するSNPとして報告されているCES1遺伝子のSNP: rs2244613および、DOACの腎排泄への関与が推定されるABCB1遺伝子の4箇所の既知SNPについて、これらのSNPを検出するプライマー・PCR条件を確立した。登録症例について、遺伝子多型解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院脳卒中センターに脳卒中患者は多数入院するが、脳梗塞の二次予防として、新たにDOACを導入する患者は、経口摂取可能な患者に限られ、登録患者数が当初の計画に比べて少ないため。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞の二次予防としてDOACの開始した患者には、研究協力を求めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、学会参加費用が少なかったこと、平成29年度に購入予定の物品が平成30年度となったことがあげられる。平成30年度では、引き続き登録症例の遺伝子多型の解析を進めるとともに、データがまとまり次第、学会発表を行っていく。
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