2016 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化進展における性差・社会心理学的機序の解明に関する前向きコホート研究
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16K09072
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野田 愛 (池田愛) 順天堂大学, 医学部, 特任准教授 (10616121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
本庄 かおり 大阪大学, 薬学研究科, 招へい准教授 (60448032)
斉藤 功 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90253781)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | αアミラーゼ / 心理的ストレス / 社会的要因 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
東温スタディは、平成21年~平成24年度にかけて実施した調査をベースラインとした前向きコホート研究である。愛媛県東温市の地域住民(約2,000人)を対象に、動脈硬化(頸動脈エコー、CAVI等)及びその生物学的危険因子(血圧、75g経口糖負荷試験による糖尿病評価、血中コレステロール、腹囲等)、自律神経機能(心拍変動によるスペクトラム解析)、生活習慣(喫煙、飲酒、栄養、身体活動、睡眠等)を把握している。平成26年度から(平成29年まで)フォローアップ調査として、5年後調査を開始している。5年後調査においては、ベースライン調査項目に加えて、新たに社会的要因(社会的役割、仕事と家庭の対立、社会的サポート・ネットワークや教育歴・職業・世帯収入を含む社会経済的地位等)を、把握している。さらに、平成28年度は、これまでのデータに加えて5年後調査時における唾液中のストレス関連マーカーであるαアミラーゼの測定を実施した。 横断的予備的解析結果では、壮年女性(55歳未満)において、αアミラーゼが高い者は、低い者に比べて、社会的サポート・ネットワークが少ない者、介護を行っている者、ワークライフバランスが悪い者の割合が多い傾向が示された。また、αアミラーゼが高い者は、低い者に比べて、収縮期血圧、拡張期血圧、動脈硬化の指標であるCAVIの値も高いことが示された。しかしながら、男性において、同様の関連は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、433人に対し調査を実施し、生活習慣や心理社会要因を含む質問票、並びに自律神経機能、血圧値、血糖値、コレステロール値、頸動脈エコー、CAVI測定等の多岐に渡る検査情報を収集した。既に平成26~27年度に実施済みの対象者と合せると、計1,399人の調査が完了した。また、平成26~28年に唾液が収集できた1,381人に対して、唾液中のストレス関連マーカーであるαアミラーゼの測定が完了した。また、予備的解析を行い、本研究課題の目的達成に関連した結果を得ることができた。したがって、本研究は計画通りに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、約500人の対象者に対して調査を実施する予定である。平成28年度と同様に、生活習慣や心理社会要因を含む質問票、自律神経機能、血圧値、血糖値、コレステロール値、頸動脈エコー、CAVI測定等の多岐に渡る生態試料の収集、唾液中αアミラーゼ測定を予定している。 平成28年度に引き続き現地調査を実施し、対象者を増やすとともに、横断的解析をさらに進め、性差の相互作用項としての影響を考慮しつつ、社会心理的要因が動脈硬化の進展に与える社会心理学的機序について共分散構造分析を用いた検討を行い、本研究目的の達成を試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究打合せに旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究成果について学会報告を予定しており、それに向けての研究打合せを行う。
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