2016 Fiscal Year Research-status Report
社会経済格差とがん検診発見、早期診断および生存率との関連
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16K09079
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
西野 善一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70302099)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん / 社会経済的地位 / 検診 / 生存率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宮城県地域がん登録資料を用いて個々のがん患者の社会経済的地位を居住地における地理的剥奪指標を使って評価した上で、社会経済的地位と検診発見、早期診断および生存率との関連をがんの部位別に評価するものである。その際に地理的剥奪指標は国勢調査データを用いて小地域ごとに算出したものを用いる。 平成28年度は各患者が属する国勢調査小地域を効率的にコード化する方法を中心に解析用データセットの作成方法を連携研究者とともに検討を行うとともに、宮城県新生物レジストリーへの地域がん登録資料の利用申請の実施ならびに研究計画について金沢医科大学医学研究倫理審査委員会の倫理審査を受けた。 各患者が属する国勢調査小地域のコード化は、当初の研究計画では地域がん登録に既に入力されている住所コード(地方公共団体コード)を元にして国勢調査小地域のコードに変換することを計画していたが、地域がん登録が使用する住所コードに含まれる範囲と国勢調査の小地域の境界とは必ずしも一致せず、地域がん登録が用いる住所コード範囲に複数の国勢調査小地域が含まれる場合は、各国勢調査小地域の地理的剥奪指標値を重みづけの上合成して計算する必要がある。この作業には相当の時間を要しデータを受領した研究者の負担となるため、負担を軽減する方法を今年度検討した。具体的には、地域がん登録に入力されている詳細住所(テキストデータ)よりソフトウェアを用いて直接国勢調査小地域をコード化する方法を検討し、連携研究者の協力を得て試行した結果、地域がん登録側が国勢調査小地域のコード化を行った上でデータを提供することについて実施の目途を立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画時点での想定以上に地域がん登録データベースに登録されている住所コード(地方公共団体コード)から地理的剥奪指標値を国勢調査小地域データより計算する作業に労力を要することが判明したため、今年度はデータを受領して解析を実施する研究者の負担を軽減するための方法として、当初は予定していなかった地域がん登録に入力されている詳細住所(テキストデータ)から国勢調査小地域をコード化する方法について検討を行った。そのために進捗が当初の計画より遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、宮城県地域がん登録より解析用データセットを入手した後に対象がん患者の居住地(国勢調査小地域)における地理的剥奪指標値を算出する。その後、得られた地理的剥奪指標値に基づく対象者の社会経済的地位と早期診断割合、検診発見割合、浸潤がん罹患率および生存率との関連を検討する。 今年度の検討結果より、地域がん登録より国勢調査小地域コードが付与された解析用データセットを得られる見通しとなったため、当初計画していた地域がん登録が使用する住所コード範囲と国勢調査小地域とのリンケージ作業を省略することができる。そのため今後は研究の進捗が見込まれる。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた地域がん登録が使用している住所コード範囲と国勢調査小地域とのリンケージ作業および地理的剥奪指標値の算出を行わなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に計画していた地理的剥奪指標値の算出は解析用データセットを入手した後に次年度実施する。それとともに次年度は当初計画していた社会経済的地位と検診発見、早期診断および生存率との関連についての解析を実施し、これらの研究に当該助成金を使用する。
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