2017 Fiscal Year Research-status Report
北インドにおける胆嚢がん多発要因の疫学的解明と早期発見のための特異蛋白の有用性
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16K09080
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
生駒 俊和 北陸大学, 医療保健学部, 准教授 (60612744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 和男 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60176790)
土屋 康雄 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60334679)
浅井 孝夫 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (60612736)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胆嚢がん / インド / 環境要因 / 遺伝要因 / 特異蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の計画は、インドで収集した質問書と血清試料を日本に持ち込み、質問書データのコンピュータ入力と遺伝子多型の分析を行うことであった。 9月にサンジャイ・ガンジー医科学大学院を訪問し、胆嚢がん患者100例と胆石症患者100例から収集した質問書とDNAを受取り、日本に搬入した。質問書のデータをコンピュータ入力し、多重ロジスティック解析を行った。胆嚢がん発症リスクを有意に上昇させる要因として、年齢、教育歴、経済状況、黄疸、発熱、体重減少有り、便通1回/日以下、レタスの摂取頻度、飲料水(水道水や井戸水)、使用燃料(薪)、非菜食主義者、女性では月経開始期、妊娠回数、臨月の出産数などであった。現在、各項目の妥当性評価をインド研究者と共同で行っている。 遺伝子多型の解析は、TaqMan SNP Genotyping AssayによりCYP1A1 rs4646903、CYP1A1 rs1048943、TP53 rs7042522を、Allele specific PCR法によりGSTM1とGSTT1多型の各遺伝子型の頻度を調べた。TP53 rs7042522多型のホモ変異型(CC型)の頻度は胆嚢がん患者群で27.1%(26/96)、胆石症患者群で12.9%(12/93)であった。ホモ変異型の存在は、インドにおける胆嚢がん発症に有意に関係していた(年齢調整したオッズ比、2.6;95%信頼区間、1.1~6.2、P値、0.03)。その他の遺伝子多型、CYP1A1、GSTM1、GSTT1の変異型と胆嚢がん発症リスクには関連は認められなかった。我々の結果はTP53 rs7042522多型のCC型はインドにおける胆嚢がんのリスク要因となりうる可能性を示唆している。Apolipoprotein BとCETP遺伝子多型の解析も終了し、30年度中には統計解析結果が得られる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度終了の時点で、予定していた結果が得られていない項目は、遺伝子変異解析と特異蛋白の有用性評価のみである。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度中に、胆嚢がん患者の胆嚢組織から抽出したDNAを用いて、TP53とK-ras遺伝子変異解析を完了する予定である。試料とした組織標本は29年9月にサンジャイ・ガンジー医科学大学院訪問時に胆嚢がん患者の胆嚢を100例受取ることができた。帰国後にDNA抽出を行い、現在解析中である。 胆嚢がん特異蛋白については、血清中からELISA法を用いて絞り込んだ胆嚢がん特異蛋白を検出することを試みたが、血清中の濃度が低かったことや使用できる抗体に制限があったことなどにより有効な検出系を構築することができなかった。30年度には、ELISA法より高感度の質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた定量法により候補蛋白質の定量を行う予定である。
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Causes of Carryover |
29年度中にTP53、K-ras遺伝子変異解析が終了しなかったため、使用する消耗品購入費の残りが次年度使用額となった。この解析も30年度中に終了するので関連する試薬などの消耗品購入費として使用する予定である。また、特異蛋白の検証では、抗体を用いるサンドイッチ法では検出が困難であったことから新たに質量分析装置を用いた定量を行いたいと思っている。そのための費用(試薬購入費など)としても使用する予定である。
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Research Products
(1 results)